英語での退職届の書き方と注意点(テンプレート付き)

英語での退職届の書き方と注意点(テンプレート付き)

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退職時のコミュニケーションの重要性 英語で退職届を書くときの注意点 英語の退職届の書き方(テンプレート付き) まとめ
退職届を含め、退職時の振る舞いが重要な理由は、日本企業の深刻な人材不足と関係があります。少子高齢化が進み、労働人口が減少する中で企業は退職した社員の再雇用を進めています。これまで日本では、元の職場に再就職する事例はそこまで多くはありませんでしたが、シニア人材の雇用が増加する中、企業にとってすでに業務内容や対応手順をよく理解し、必要なスキルや知見を身に着けている元社員を再雇用することには大きなメリットがあります。 昨今では、多くの大手企業が、「カムバック採用」をスタートし、元従業員であるアルムナイを再雇用する動きが盛んになっています。退職後の社員同士のネットワーキングやソーシャルイノベーション促進という側面もありますが、同時に「出戻り入社」の機会創出にもなっており、企業にとっては低い採用コストで即戦力人材が獲得できる貴重な人材ネットワークです。他社で働いてみた結果、元職場の良さを再認識したという人も少なくないでしょう。そんな時には、アルムナイネットワークを使って現職の人事とコンタクトが取れる状況を作っておくことは、双方にとっての利点となります。 このように、日本国内に展開する企業において退職者の再雇用が拡がっている昨今では、退職する時点でそれまで働いていた会社との関係が切れてしまうわけではありません。いつ、どのように再雇用のご縁がつながるか分からないため、退職する際もできるだけ印象良く、良好な関係を保ちたいものです。その点で、特に外資系企業では、退職届の内容が雇用側に与える印象を大きく左右します。
一般的に日本企業で使用される退職届は、記載事項が限定的なため具体的な情報を記載する必要はありません。しかし、外資系企業では退職届はフォーマットや記載項目が多様で、どのような表現で何を書くかは、退職者の選択にゆだねられます。しかし、その分内容をきちんと精査する必要があります。好印象が残る退職届を書くには、以下の5点に注意するとよいでしょう。 過去ではなく未来に焦点を当てる 退職届は雇用者に対して不公平な待遇を指摘したり、業務改善を求めたりするものではありません。過去に職場でどんな扱いを受けたとしても、退職届にその点を記載することは避けましょう。むしろ、退職届の内容は未来に焦点を当てたものにするとよいでしょう。退職者にとっても、雇用者にとっても、退職が新たな関係のスタートになるように話を持っていきましょう。 シンプルで明確な表現を心がける 退職理由に関して言及することは問題ありませんが、あまりに具体的な点を含めすぎて、内容が複雑なものにならないよう注意しましょう。退職理由は明確でシンプルに伝えるのが鉄則です。ただし、日本企業で通例の「一身上の都合」という事由は、外資系企業では一般的に使われません。退職を決断した理由のポイントを絞り、ロジカルかつニュートラルなトーンで文章を書くよう意識するとよいでしょう。 誠意をもって感謝を表す 日本人の社会的な特性として、退職する際に職場に迷惑をかけることに対する「申し訳なさ」から、謝罪が前面に出てしまう傾向があります。しかし、外資系企業で英語の退職届を書く場合には、謝罪の意よりも誠意をもって感謝を表すという姿勢が推奨されます。もちろん謝罪の表現を含めることは問題ありませんが、大げさな表現は避けたほうがよいでしょう。同時に、これまで業務を通して得た経験や仕事で関わった人々に対する感謝がしっかりと伝わるような文章を含めましょう。 感情的にならず冷静に 退職届では感情的で情緒的な表現は避けるのが無難です。会社に対する不平不満はもちろんですが、感謝の意であったとしても感情を前面に押し出した文章で伝える必要はありません。また、退職理由を説明する際も曖昧で主観的な表現は避け、冷静かつ客観的な記述を心がけましょう。 前向き表現を意識する 前述したように、退職は会社との「永遠のお別れ」ではありません。日本企業における深刻な人手不足を考えると、再雇用の機会がいつ、どのように開かれるか分かりません。そのことを念頭に置きつつ、今後もビジネス上の関係を継続し、前向きな支援をお願いしたい旨の一言を添えるとよいでしょう。また、在職中に得ることができた貴重な経験や習得した知識、スキルを今後どのように活かしていきたいと考えているか、仕事を通じて与えられた学びの機会に対する感謝を述べることも、好印象を残す大きなポイントとなります。
以上のポイントを押さえながら、丁寧に退職届を作成しましょう。ここでは、含めるべき項目と全体の構成について、テンプレート例を添えてご紹介します。 英語で退職届を書く際は、下記の項目を順番に沿って記載するのが一般的です。 日付(退職届の提出日) 受取人の名前(一般的には直属上司) 受取人の役職 会社名 会社の住所(市区町村、都道府県、郵便番号) 宛名(6.と同様) 退職する旨を伝える文章 退職日と最終勤務日についての情報 職場に対する感謝の意 退職事由 引継ぎについての情報 今後にむけてのメッセージ 締めの挨拶 自署(サイン) 氏名(活字) 退職事由を簡潔にまとめ、これまでの支援や機会創出についての具体的な感謝を述べ、引継ぎをしっかり丁寧に実施する準備がある点を強調すると、より好印象なものに仕上がります。 【テンプレート例】 [Date] [Recipient's Name] [Recipient's Position] [Company Name] [Company Address] [City, State, Zip Code] Dear [Recipient's Name], Please accept this letter as formal notification of my resignation from [Your Position] at [Company Name]. My last day of employment will be [Your Last Day of Work], providing the standard [number of weeks] weeks' notice period. I have thoroughly enjoyed my time at [Company Name] and am grateful for the opportunities for professional and personal development that I have been provided during my tenure. I am proud of the work accomplished by our team and appreciate the support and guidance provided by my colleagues and supervisors. After careful consideration, I have decided to pursue a new opportunity that aligns more closely with my long-term career goals. While I am excited about this new chapter in my career, I will miss working with the talented team at [Company Name]. I am committed to ensuring a smooth transition during my remaining time at the company. Please let me know how I can assist in transferring my responsibilities or training a replacement. I am happy to provide assistance in any way possible to ensure a seamless handover. I want to take this opportunity to express my gratitude for the support and encouragement I have received during my time at [Company Name]. I have learned a great deal and will always value my experience here. Thank you once again for the opportunity to be a part of [Company Name]. I wish you and the entire team continued success in the future. Sincerely, [Your Signature] [Your Name (print)]   【日本語訳(意訳)】 このたび、[会社名]を退職いたします。最終勤務日は[最終勤務日を入力]となり、通常通り[週数]間前の事前通知をいたします。 [会社名]での勤務は非常に充実したものであり、業務を通して専門的および個人的な成長の機会に恵まれたことを大変嬉しく思います。また、チームで達成した成果は誇れるものであり、同僚や上司からの支援と指導に心から感謝しています。 慎重な検討の結果、自身の長期的なキャリア目標とより一致する新しい機会を追求することを決意いたしました。この新しい人生の扉を開けることは楽しみではありますが、[会社名]の才能あるチームと仕事ができなくなることを残念に思っています。 在籍期間中、引継ぎが円滑に実施できるよう尽力いたします。業務の移行や後任者育成においてお手伝いできることがあれば、どうぞお知らせください。問題なく引継ぎが完了できるよう、可能な限りの支援を提供いたします。 [会社名]での勤務中にいただきました支援と激励の言葉に、改めて感謝の意を表したいと思います。ここで学んだ多くのこと、そして得た気づきと経験を、いつまでも大切にしていきたいと思います。 最後になりますが、[会社名]の一員となれた機会に感謝いたします。 今後の皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。 敬具 [自署(サイン)] [氏名(活字)]
退職は必ずしも「さようなら」ではありません。人手不足が深刻化する日本社会では、今後も退職を「別れ」と捉えるのではなく、新たな関係性のスタート地点とする企業は増えていくことでしょう。そのような状況では、退職前後の立ち振る舞いや会社とのコミュニケーションは、今後の再雇用の可能性を左右する重要なポイントとなります。外資系企業における退職プロセスの中では、プロフェッショナルで誠意のこもった退職届を作成することは、未来への大切な種まきといえます。「人間は去り際に本質が出る」とよく言われますが、退職者、雇用者ともに気持ちの良い区切りをつけることは、双方にとってメリットしかありません。この機会に、退職周りのコミュニケーションについて再考するとともに、英語での退職届の書き方をマスターしてみると、将来の転職活動の展望がより明るくなることでしょう。 関連記事:退職願・退職届・辞表・退職挨拶