面接で転職理由を聞くのは、「入社後に自社で活躍できるか」「長く定着できるか」の2つを面接官が見極めるためです。面接官に好印象を与えるような伝え方が重要です。
本記事では、面接で転職理由を答えるときに気を付けるポイントや、面接で転職理由を聞かれたときの回答例文を理由ごとに解説します。
面接で転職理由を答えるときは、志望理由と一貫性を持たせ、自分の言葉でポジティブな理由を伝えることがポイントです。面接で転職理由を答えるときに気を付ける4つのポイントを見ていきましょう。
面接で転職理由を答えるときは、志望理由と一貫性を持たせることで説得力が増します。転職理由の他、志望動機も聞かれることが多く、一貫性があればアピールしたい部分が伝わりやすくなります。
転職理由と志望理由に一貫性を持たせるには、「現職で実現できないことを応募先では実現できる」という伝え方が最適です。例えば、「現職の仕事は幅広い業務をこなしているが、その中の専門分野に興味を持ち資格をとった。資格を活かし、専門スキルに特化した業務が応募先ではできる」という転職理由であれば、説得力があります。
また、やりたいことが実現できるよう現職でも努力したことを示すことも重要です。どのような環境でも適応しようとする人物であることがアピールできます。「専門分野での業務に就くことを会社に何度か依頼してみたが、社内の制約上、実現しなかった」といったように説明します。
ネットで転職理由について検索すると例文が多く出てきますが、そのままコピーして使ってはいけません。例文を参考にするのは良いですが、自分の言葉に置き換えることが大切です。
最終的には自分自身で志望理由と転職理由を考えないと、説得力がなくなってしまいます。初めの質問には答えられても、面接官からさらに質問を受けたとき言葉につまるかもしれません。また、本当の転職理由とずれていると入社後にミスマッチが生じる可能性があり、企業にも応募者にも不利益が生じかねません。
面接官に好印象を与えたいからといって、嘘をついてはいけません。前職への不満など、言わないほうがいいことはあります。しかし、噓をつくと他の質問をされたときに矛盾が生じる可能性があり、マイナスの印象を与えてしまうので注意しましょう。
嘘をついてはいけないものの、面接の基本は面接官に好印象を与えることです。そのため、「しんどい」「つらい」「つまらない」などネガティブな表現は避けましょう。ポジティブに言い換えることで、前向きな気持ちをアピールできます。転職理由でありがちなネガティブな理由をポジティブな言葉に言い換えた例は、以下のとおりです。
ポジティブに言い換えるときは、入社後にどうなりたいかを考えると言い換えやすいでしょう。
ネガティブな理由
| ポジティブな理由
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人間関係が悪い
| チームで連携を取りながら気持ちよく働きたい
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ノルマが厳しい
| 顧客一人ひとりの時間を大切にしたい
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残業が多い
| 効率よく仕事をして正当な評価がほしい
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給与が安い
| 実績や成果を認めてほしい
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仕事内容が合わない
| 自分のスキルや強みを最大限発揮したい
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通勤時間が長い
| 仕事に打ち込む時間を増やしたい
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企業が転職理由を聞く意図は、入社後に自社で活躍し長く定着できるかを見るためです。ミスマッチを防ぐためにも、次の3つの観点が採用判断基準の一例です。それぞれについて見ていきましょう。
応募者の人柄や価値観が企業と合っているか確かめることで、長く定着できるか見極めます。例えば、柔軟な思考が求められる職場は、規則通りに業務をこなしていきたい人には向いていません。また、現在の従業員と協調できそうかも見られます。
応募者のやりたいことが企業で実現できることであれば、長期的な活躍が期待されるでしょう。例えば、外国語を使う業務が段階的に増えていく職場であれば、語学力を活かしたい応募者とマッチします。反対に、「将来的にはプロジェクトマネージャーを目指している」というキャリアパスがあったとしても、関連性のない役職であれば実現できません。
自分のやりたい仕事やキャリアパスを話すことは、将来を見据えていることのアピールとなります。応募先の仕事内容をよく研究し、今後挑戦したいことと照らし合わせてみましょう。
中途採用の場合は、即戦力が求められます。そのため、スキルや経験を持っていることをアピールすることが大切です。企業が求めるスキルを持っていれば、入社後にやりたいことにも実現性が出てきます。
面接で転職理由を聞かれたときの回答例文を、理由別に紹介します。
労働時間が長いことを示す場合は、単に「長い」と伝えるのではなく、「1日平均14時間」のように具体的な数字を示すと説得力が増します。
また、自分だけ労働時間が長いと、「効率が悪いのでは?」と思われる可能性があります。そのため職場全体が同じ状況であることを伝え、個の能力とは関係ないことを示しましょう。
【回答例】
現職では、労働時間が1日平均14時間、残業時間が月50時間であることが常態化しています。3年間勤めている間に、同僚と協力して作業工程の改善や効率化を提案しましたが、会社に受け入れてもらえませんでした。
御社ではワークライフバランスを重要視しており、メリハリのある働き方が実現できると考え、転職を決意いたしました。
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社風とは、職場の雰囲気や会社の方針のことです。「社風が合わない」だけでは抽象的ですので、具体的に何が合わなかったのかを伝えましょう。また入社後には、どのように貢献したいのかも伝えることが大切です。
【回答例】
現職では、業務に関する意見やアイデアを提案しても上司や経営陣の意向のみが反映されてしまいます。私は、同僚と協力しながら、最新システムや販売戦略について何度も上司に提案しました。しかし、「昔からこのやり方だから」といって実現できませんでした。
御社では若手が活躍し、挑戦できる環境が整っております。メンバーと協力しながら効率化を図り、会社の発展に貢献したいと思います。
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業界や会社の将来が不安で転職する場合、入社後に同じ状況になれば「またすぐに転職してしまうのでは?」と思われる可能性があります。そのため、やりたいことや入社後の目標を伝えることが大切です。会社の不満だけを伝えて終わらないように気をつけましょう。
【回答例】
私はお客様一人ひとりと向き合う時間を大切にし、強固な信頼関係を築きあげることに力を注いできました。しかし、会社のトップが変わったことにより、お客様第一主義から効率を重視した方針へと変わってしまいました。
お客様よりも作業効率を重視する考え方は、将来性に不安を感じます。一方、御社では創業から変わらずお客様第一主義を貫き続けています。お客様との信頼関係を築き、〇〇の拡大を目指したいと考えております。
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給与の高さだけで転職先を選んだと思われると、「また給与の高い会社へ転職するのでは?」とマイナスの印象を与えてしまいます。そのため、入社後どのように活躍したいかを具体的にまとめることが大切です。給与の話よりも入社後の話が中心になるようにまとめましょう。
【回答例】
現職では、営業目標を達成するだけでなく社内でトップの営業成績を収めています。しかし、インセンティブ制度や昇給制度がなく、入社6年目の私と入社2年目の社員の給与があまり変わりません。
御社ではインセンティブ制度を導入されており、社員の働いた成果を正当に評価していると伺っております。大変魅力的な環境であり、モチベーションを高く保ちながら働けると思っております。これまでの経験を活かし、御社でも営業成績トップを目指したいと思います。
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家庭の事情が理由の場合は、伝えられる範囲内で構いませんので、誠実に伝えることがポイントです。入社することでどのように状況が改善されるのかを、伝えましょう。改善点がなければ、また同じ理由で転職すると思われるため、注意してください。
【回答例】
転職理由は、出産でライフスタイルが変化し、引っ越ししたことにより通勤時間が長くなったことです。やりがいを持ちながら今の職場に勤めていますが、車で片道2時間弱かかってしまい、将来のことを考え転職を決意しました。
スケジュール管理や行動計画を立てることを得意としておりますので、御社でも効率よく作業を進め、貢献したいと思っております。
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転職理由を伝える際のカギは「入社後にどのように活躍したいか」を伝えることです。企業は、自社で長く活躍できるかを見極めています。そのため、やりたいことや目標、活躍できるビジョンがあることを伝え、将来を見越して働くことをアピールしましょう。
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