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テクノロジーの急速な発展に伴い、組織やキャリアの在り方も再定義されるようになりました。ボストンコンサルティンググループは、世界のGDPの80%を占める25の主要経済圏で深刻な労働力不足が起こっていることを発表しています。また、この労働力不足は、特にIT分野で多く発生すると予想されており、技術職の女性の数を増やすことは、喫緊の課題といえます。 日本でも2016年に経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、女性のIT人材比率は全体の4分の1となっており、IT業界における男女比の現状は未だ不均衡であるといえます。

では、なぜテクノロジー分野でのキャリアを選ぶ女性は増えないのでしょうか?そしてIT企業はどうすれば、より多くの女性に活躍してもらうことができるのでしょうか。

先日、3月8日は国際女性デーでした。この機会に、テクノロジー業界におけるジェンダー平等の現状を考察するとともに、女性のキャリア進出を含め、より包括的で男女平等な職場環境を実現するためのアクションプランをご紹介します。

IT関係の仕事におけるジェンダーバイアスの課題 

オーストラリア・コンピュータ協会(ACS)は、2015年に調査レポート「The Promise of Diversity: Gender Equality In The ICT Profession(多様化がもたらす将来性:ICT専門職におけるジェンダー平等)」を発表しました。その中で2008年にハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)が行った研究結果を紹介しており、テクノロジー分野で働く女性の約50%が最終的に離職していることがわかりました。ACSによると、IT業界は現在も同様の課題に直面しており、HBRの離職率を適用した場合3万5000人から4万人もの女性のIT人材が失われると警告を発しています。

HBRの調査では、このような女性の高い離職率の原因として、男性優位の文化、職場での孤立、キャリアの不透明感や停滞、不公平な報酬制度、極度の仕事へのプレッシャーなどを挙げています。特に、家庭とキャリアの両方に対して、プレッシャーが同時に大きくなる30代後半の時期に離職率が高くなる傾向があることがわかりました。

さらに、ACSの同調査の中で引用されているThe Workplace Gender Equality Agency(WGEA)の論文「Different genders, different lives」では、テクノロジー分野で働く女性に悪影響を与える偏見や先入観がいくつか指摘されており、ここにその一例をご紹介します。

• 働く女性に対する根強い先入観:積極的にキャリアアップを目指す女性は、しばしば男性の同僚から「自己主張が強すぎる」「攻撃的だ」と思われてしまうことがあります。このような先入観が職場におけるコミュニケーションの障壁となり、結果として昇給や昇進をあきらめてしまう女性がいます。

• 子育てなど家庭と仕事の両立に対するプレッシャー:IT業界では豊富な専門知識と業務経験、高いスキルが評価されます。そのような業界で、女性が子育てのために仕事を休むと、長期的なキャリ形成に影響を及ぼす可能性があります。

このような現状がある一方、職場における多様性が経済にとって良い影響をもたらすこともわかっています。Women Who Techは、組織の人材に多様性を持たせることが、コスト削減、収益の増加、イノベーションの促進、業務の効率化につながるとして、これを推奨しています。

 

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女性が活躍するテクノロジー業界を実現するための5つのアクションプラン

IT 業界のジェンダーギャップを埋めるために、雇用主は様々な側面から対策に取り組む必要があります。ここでは男女平等で多様性のある職場を実現するための5つの重要なポイントをご紹介します。

1. リーダーシップと責任の明確化

企業のリーダーは、男女平等が単なる人事の問題ではなく、重要なビジネスの戦略課題であることをまず認識する必要があります。経営幹部の全員が明確な責任を持ち、ジェンダー平等に関するKPIを達成するため、意欲的に対策に取り組むことが重要です。

2. 柔軟な働き方の採用

この数年で働く環境は大きく変化しました。介護や育児など、プライベートと仕事の両立のため、従業員はより良いワークライフバランスを望んでいます。テクノロジーの発展によって、現在では事実上どこでも仕事ができるようになりました。男女ともに自分の可能性を最大限に発揮できるよう、柔軟な働き方ができる労働環境を整えることが大切です。

3. メンター制度とスポンサーシップ

メンター制度は主に心理面から従業員をサポートし、スポンサーシップは優秀な従業員のキャリアップを加速させるのに効果的です。これらは、女性がIT業界でキャリアの成功を収めるための強力なツールとなります。

4. ジェンダー平等の目標設定

ジェンダー平等の目標を強制的に推し進めてしまうと、一部の女性が不当に優遇されていると思われてしまう恐れがあります。このため、ジェンダー平等の目標は、企業の状況、文化、環境に応じて適切に設定し、継続的に見直しながら調整を行いましょう。

5. 女性のエンパワーメントを推進

男女ともに雇用の機会が増える一方で、経営幹部を占める女性比率は未だ低いままです。日本政府は「2030 年までに役員に占める女性比率を 30%以上にする」という目標を掲げており、政府や企業による女性のエンパワーメント推進が期待されています。

IT関係の仕事で女性が輝くために

テクノロジー業界でも女性のビジネス進出に対する考え方は少しずつ変わってきています。女性が活躍しキャリアの成功を収めることは、慢性的な人手不足が課題となっているIT分野において、企業のビジネスの成功を意味します。これらの課題を、実際にアクションを起こすことで解決に導き、より包括的で男女平等な職場を実現しましょう。

実際に、ビジネスで成功を収めた女性エグゼクティブによる、キャリアを成功に導くためのヒントはこちらから