1969年に発送業務に携わる従業員が脳卒中で亡くなって以来、「過労死」は、1980年代のバブル経済とともに日本の大きな社会現象となりました。 国際労働機関(ILO) のケーススタディによれば、働き盛りの組織幹部の多くが働きすぎによって重い循環器系の疾患を発症しており、日本政府は詳細な調査に乗り出しました。
The Telegraphの報道によれば、日本で過労死犠牲者の家族による賠償請求は、2015年だけで年間1,456件を記録しました。この統計には、過労で亡くなったホワイトカラーのプロフェッショナルも含まれます。
2016年のジャパンタイムズの記事によれば、4社に1社近くが、社内に月80時間以上の時間外労働をしている従業員がいると認めています。業界別に見ると、働きすぎの従業員が最も多いのはIT業界で、回答者の44.4%がひと月の時間外労働が80時間以上でした。
過労死は働きすぎの極端な例ですが、企業や管理職はその蔓延から何を学び、どのような対策でワークライフバランスを確保すべきでしょうか?
現代のアジアにおけるワークライフバランス
過労死は日本以外でも報告されています。ほんの2年前、台湾の職業安全衛生署Bloombergは、40件の過労死賠償請求を報告しました。Bloombergも、中国全土で毎日1,600件も過労死があると伝えています。
アジアの他の場所ではそれほど悪くありませんが、やはり長時間働いているプロフェッショナルがいるのは事実です。China Dailyは、香港が全国平均週50時間で、真偽は疑わしいものの、長時間労働世界第1位と報道しています。Today Onlineの調査によれば、シンガポールも家族との時間を犠牲にした長時間労働で知られています。
ワークライフバランスの奨励
ワークライフバランスは、多くの組織で奨励され、盛んに議論されています。また、仕事のストレスや苦労を緩和する対策を望む従業員も増えています。
企業や管理職は、現代のビジネスのスピードと高い需要を考慮し、従業員のワークライフバランスをサポートする必要があります。ここでは、基本的な対策をご紹介しましょう。
1. 仕事の効果的な委任を奨励する。たくさん仕事を抱えているスタッフがいたら、チーム内での作業の分担を検討してください。特定のチームメンバーが処理しなければならない仕事と、他のメンバーに頼める一般的な作業を明確にしましょう。
2. 現実的な計画を立てる。非現実的な計画を立てると、最後に大急ぎになりかねません。締め切りに追われての過労を防ぐには、実現可能なプロジェクトのスケジュールを作成し、提示しましょう。これによりチームは余裕を持って質の高い仕事をし、予想外の遅れも吸収できます。
3. 柔軟な勤務時間を検討する。長い時間をかけて通勤している従業員がいるかもしれません。これも過労につながります。勤務時間に柔軟性を持たせれば、スタッフは最も冴えている時間に働けるため、生産性も仕事への満足度も上がります。
4. 従業員の時間管理スキルを磨く。作業に優先度を設定したり、生産性を高める技術を使ったりするスキルを持たないために、プロジェクトに時間のかかるスタッフもいます。そのような従業員の場合、時間管理のテクニックや技術の使い方を教えるトレーニングを与えれば、仕事時間を短縮できる可能性があります。
ワークライフバランス対策で過労死を防止
過労死は、企業文化における大きな不均衡の象徴であり、職場環境とスタッフの福祉の重要性を多くの人に考え直させました。
ワークライフバランスの奨励は、従業員にも雇用主にも仕事と家庭の両立の重要性を理解させるというメリットがあります。
しかし、携帯電話と常時接続のライフスタイルによって勤務時間と私生活の境界線が薄れている現在、ワークライフバランスは恒常的な課題です。
興味深いことに、過労死は過度に生産性を追求した結果ですが、ワークライフバランスも同様に生産性を高め、組織に利益をもたらします。
従業員の意欲を高め、大切にする前向きな職場環境を整えれば、過労死は過去のものになると期待されます。