新型コロナウイルス感染症によってこれからの人材採用は、数カ月前には想像もしなかったものへと変貌を遂げています。ソーシャルディスタンスにより、面接は対面からオンラインに変わり、在宅勤務が増え、柔軟な働き方が「新しい生活様式」となりました。
新型コロナウイルス感染症の流行が一時的でも、人事採用に対する影響はそうではないと思われます。
では、このような変化によって、採用はどう変わったのでしょうか?そして企業のリーダーはいかに新しい雇用環境に備えるべきなのでしょうか?
オンライン面接はデジタル化という氷山の一角
ソーシャルディスタンスのために、ビデオ会議ツールで採用面接をする企業が増えました。オンライン面接自体は新しい概念というわけではありませんが、採用担当マネージャーはツールに慣れ、面接プロセスも調整しておく必要があります。
そのため場合によっては、事前に数回、模擬面接をして、発生し得る技術的問題を解決しておく必要があります。オンライン面接では画面設定にシンプルですっきりした背景を用いるようにすると、候補者が質問に集中しやすくなります。また2割程度長い時間を確保しておくことで、通信状態に問題があった場合にも対応ができます。
オンライン面接は、人事採用の技術依存が進んでいることを示す1つの例です。ソーシャルディスタンスにより今後も他人との接触が制限されるため、電子契約書、応募者追跡システム(ATS)、セキュアな仮想ワークスペース、リモートオンボーディングなどが重要性を増し、採用のさまざまな要素がますますデジタル優先となるでしょう。
これからの人材採用ではオンボーディングもオンライン?
新規加入従業員に対して効果的なオンボーディングは、従業員のやる気と生産性の向上や学習速度の加速、定着率の向上などにつながります。これは完全または一部在宅勤務の従業員にも当てはまります。会社に歓迎され、必要なサポートも受けながら、仕事への準備ができていると感じることが重要だからです。
リモートオンボーディングプロセスでは、オフィス勤務のオンボーディングに必須の主要なステップをすべて網羅する必要があります。リモートオンボーディングプロセスでは、必ず、新規加入従業員を他の社員に紹介する場を設けるだけでなく、当人とは職務と期待について踏み込んだ話し合いをすべきです。加えて、新入社員には、質問や進捗共有の機会を定期的に与えます。
また、在宅勤務者のオンボーディングでは、コミュニケーションを保つことが非常に重要となります。これは従業員のチームへの帰属感とチームとの一体感を育むことにつながるからです。新規加入従業員が自分の役割と職務について質問がある場合、気軽に連絡できるメンターを指名しておくのはいい方法です。新入社員の上司も迅速な対応ができるよう心がけ、テクノロジーや勤務環境に問題があった場合には、常に素早く対処するようにします。
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契約社員の重要性が高まる
新型コロナウイルス感染症が流行するなか、多くの企業が、速やかに高いコスト効果で人員を増減するために契約社員を採用しています。しばらくの間、変化の激しい予測不能な状況でも適応力と生産性を高めるべく、契約社員を採用して柔軟な体制をとる企業が増えるでしょう。
契約社員の雇用には、大幅な増員や多様な人材の採用が可能になるというメリットもあります。この場合、すべての契約社員が将来、正社員になる可能性もあることを覚えておいてください。だからこそ正社員と契約社員の両方に、フレンドリーで有益なオンボーディングを提供することが重要なのです。
採用予算はより柔軟にすべき
これはどういう意味でしょうか? 基本的に、企業は必要なときには人材を採用できるよう準備しておくとともに、自社の製品やサービスへの需要が突然落ち込んだ場合にも対応できるようにしておかなければいけません。こうした不確実性を考慮し、採用予算を配分することが重要です。
そのため予備の人事予算を確保しておくことを推奨します。こうすることでいち早く新しい従業員を探し、雇用することができるのです。企業は人事予算の一部を使用し、確実な人材パイプラインの構築に注力する必要があります。それにより採用の必要性が生じたときに、スピーディーに対応ができます。結果、企業は人材を惹きつけること、または採用のための資金を調達することが困難となる状況を防ぐことができ、機敏に動き、状況に適応することができるようになります。
今後も採用するタイミングが重要
候補者数が増えれば企業は多くの候補者から選抜できますが、同時に多くの応募書類を審査しなければならず、従来よりも採用プロセスに時間がかかる可能性があります。優秀な人材を確保するには、適切な人材を迅速に採用し、魅力的な給与とインセンティブを提示する必要があります。
専門的な能力開発への注目が高まる
企業は人事予算を削減しているため、新規採用をしながら、既存従業員の専門的能力の開発にも注力することが期待されています。デジタル化により、既存のビジネス秩序が破壊される「デジタルディスラプション」が進行し、顧客の期待と支出パターンが変化しつつあるなか、自社内で開発可能、または不可能な技術スキルおよびソフトスキルの要件について明確に把握しておくことは、優秀な従業員を維持するために極めて重要です。社内におけるスキルチェックの実施によって、従業員にトレーニングや開発計画を周知することができ、前向きな採用戦略を策定することに役立ちます。
将来を見越す
公衆衛生上の懸念と新しい在宅勤務技術の両方が広まるなか、これからの人材採用は、柔軟で、なおかつ予測不能なものに思えるかもしれません。しかし、新しい環境に適応し、革新を起こそうとする企業なら、この不確かな時代にもきっと成功を収めることができるでしょう。