仕事で高いパフォーマンスを発揮するためには、個人に合った目標設定が欠かせません。しかしオンライン環境の普及によって、オフィス環境以外で働く機会が増える中で、メンバーの目標設定をどのように進めたらよいか悩む管理者も多いでしょう。
たとえば、営業職などの場合は売上などの業績目標がありますが、その他の職種では明確な目標を立てるのが難しい場合も少なくありません。(所要時間:2-3分)
こちらの記事では、個人目標の立て方について基本構成から具体的な目標設定例を紹介します。適切な目標設定はメンバーの意欲を引き出し、業績向上はもちろん、キャリア成長にもつながります。目標設定に悩みを抱えるマネージャーはぜひご覧ください。
なにを目標と置くかは、業界・職種・会社の状況によって異なります。しかし、目標設定には基本となる構成があります。基本構成を押さえることで、所属部門や事業の成長フェーズにあわせて都度調整するだけで柔軟な目標設定ができるようになります。
目標設定の際は、何を目指すかという達成基準・ゴールを明確にする必要があります。このゴールから逆算することで、具体的な行動計画や評価方法が決まります。
また、この目標は組織の目標と結びついていることが大前提です。いくら本人が納得した目標であっても、その先に組織への貢献がつながっていなくては意味がありません。ただし、組織の目標を単に与えるだけでは、押し付けになってしまい本人のモチベーションが下がり、結果としてパフォーマンスを発揮できない可能性もあるため注意が必要です。
具体的に目標を設定したら、次に達成期日を設定します。期日を決めることで具体的な行動計画に落とし込めるようになりますし、進捗が悪ければ改善を図る必要性が生じます。
逆に期日がない目標は、行き当たりばったりになりがちで、当初の目標は「絵に描いた餅」になるでしょう。多くの場合、目標設定は査定評価と紐づくため、半年や四半期で設定されますが、よりスピード感を求める場合は、一ヶ月単位・隔週単位などさらに細かくすることも有効です。
具体的な目標と期日が明確になったならば、達成に向けて何に取り組むかアクションプラン(行動計画)を明確にします。いくら目標が明確でも、アクションプランが曖昧な状態ではどのように行動すれば良いかわからず、いつまでも達成できません。
たとえば、「元日に富士山頂で御来光を眺める」という目標を立てたならば、それに向けて必要な要素をすべて書き出します。具体的には、ルートを調べる、備品を用意する、体力を付けるために1日3kmランニングをする、他の山でテスト登山をするなどが挙げられます。
このように目標達成に向けて必要な具体的アクションプランを立てることで、やるべきことが明確になるため行動に移しやすくなりますし、達成イメージを持ちやすくなります。
目標設定は一度やって終わりではありません。定期的に進捗確認を行い、アクションプランの評価を行います。もし進捗が悪ければ、なにが原因だったのかを徹底的に検証します。初めに立てた行動計画が正しいとは限りません。実際にやってみたけれど上手くいかないこともあるでしょう。場合によっては、アクションプランを修正することも必要です。
ただし、進捗が悪いからといって目標を下方修正することは基本的にNGです。上手くいかない状況でも、どうやったら達成できるか?を考え抜くことが個人・組織の成長につながります。手段を変えてもゴールは変えないことが大切です。
目標設定の構成がイメージできても、具体的な書き方がわからないと悩みを持つ方も多いでしょう。目標設定シートの書き方を曖昧に指示してしまうと、メンバーによって内容に差が生じてしまい、人によっては目標設定にばかり時間を取られてしまいます。
そうした本末転倒の事態を防ぐために役立つのが「SMARTの法則」です。SMARTの法則は、目標設定に必要な5つの要素で構成された法則です。
Specific:具体的である
| 誰が読んでもわかる、具体的かつ明確な目標である
例:新規取引者数を増やす、顧客クレームを減らす
|
Measurable:計測可能である
| 目標の達成度合いが測定できるように定量(数値)で示す
例:新規社数0社✕ 1~5社△ 6〜9社◯ 10社以上◎
|
Achievable:達成可能である
| 希望・願望ではなく現実的に達成が可能であること
|
Relevant:目標に関連している
| 部署や会社の目標に関連した内容になっているか
|
Time-bound:期限制約がある
| いつまでに達成するか期限を明確にする
例:第2期終了まで(◯月◯日)
|
メンバーの目標設定や達成には上司のサポートは欠かせません。マネージャーは会社・部署が掲げる目標達成に向けて、メンバーを巻き込みながら業務を推進していきますが、メンバーは個人ごとに強みや価値観が異なるため、一人ひとりに最適なサポートをする必要があります。
ここでは、メンバーの目標設定に必要なサポートについて解説します。
メンバーに目標を押し付けるのではなく、あくまでも本人の気持ちを汲み尊重した上で、一人ひとりに合った目標を設定しましょう。一方的な押し付けは、過度なプレッシャーによりモチベーションを下げパフォーマンスの低下に繋がります。さらに、組織風土として慢性化すると離職率の上昇やメンタルヘルスの問題に発展する可能性もあります。
本人の気持ちを尊重するとはいえ、安易にメンバーの意見ばかりを優先しては、かんたんに達成できる目標になってしまいます。かんたんに達成できる目標は組織の成長・個人の成長には繋がりません。
ときには、高い目標をあえて設定することも必要です。どうすれば達成できるかを考え、優先度の高い業務に集中することで生産性が高い働き方が実現できます。そうしてやりきった経験はメンバーのキャリア成長にもつながります。
そして、どんなに高い目標でもマネージャー自身が諦めずに「必ず達成するのだ。自分達にはできるのだ」と言い続けることが大切です。
マネージャーに求められることは、メンバーのやる気を起こさせ、自分の課題であると認識させるとともに、達成に向けて適切な助言やトレーニングを行うことです。
パワハラと捉えかねられない不適切な発言をしたり、業務と関係のないプライベートな事情に言及したりすることは避けるようにしましょう。
しかし、もしメンバーが育児や介護、その他私生活上の悩みで業務に集中できない状況にある場合は、相談してくれた本人の気持ちを尊重した上で、働きやすい環境を考え提供することが大切です。
本記事では、仕事における目標設定例と書き方について解説しました。組織として成長し続けるためには、メンバーごとに適切な目標設定が欠かせません。また、目標に応じた行動計画を立てることはあくまで手段ですので、一度立てた計画や手段に固執せずに、進捗状況を見ながら柔軟に修正をすることも必要です。
そのためにも、一人ひとりのメンバーとの対話が大切です。オンラインツールやリモートワークの普及などにより、直接的なコミュニケーション機会が減っていますが、今回ご紹介した目標設定の方法を参考に、より具体的な目標管理をサポートしてみてください。
専門性の高い人材紹介会社ロバート・ハーフでは、優秀なバイリンガル人材を外資系企業、グローバル日系企業にご紹介しています。優秀な人材を採用したい企業の方、社員育成に悩む管理職の方、弊社のタレントソリューション・スペシャリストに是非ご相談ください。