2025年版年収ガイド：経理・会計・財務

過去1年間、経理・会計・財務分野は安定的な成長を続け、企業は人材確保のため、平均2～3%の賃上げを実施してきました。今年も、この上向きの流れは、競争の激しい人材市場で優秀な人材の確保・囲い込みのために続くと考えられます。

しかし、この成長の裏側では深刻な人材不足が問題となっています。特に税務、監査、財務といった専門分野において、人材不足が顕著です。労働人口の高齢化と、若い専門人材の不足が主な要因であり、多くの企業がビジネスに不可欠なポジションの採用に苦慮しています。

この状況を受け、企業は採用基準を緩和し、英語が必要な職種においても、語学力よりも専門性を優先する傾向が見られます。英語力においては、「話す」能力よりも、「書く」能力を重視する傾向も強まっています。

さらに、特定目的会社 (SPC)、不動産、資産管理、再生可能エネルギーなどの分野で、専門性を持つ採用候補者も不足しています。このような背景を受けて、社員をスキルアップさせることで人材のギャップに対応している企業も増えてきています。

また、AI、機械学習、ロボティックプロセスオートメーション（RPA）などの技術の進歩は、業界に大きな変革をもたらしています。多くの企業では、古くなった内部システムをグローバルなシステムに移行を進めています。デジタルトランスフォーメーションを推進し、オペレーションの競争力を強化する上で、ERP、Power BI、SAPなどのデジタルツールを活用できる人材の需要が高まっています。

業種別の給与を表示する

給与レンジは、求職者のスキルや経験、会社の規模、その職務に対する需要によって大きく変動する可能性があります。

経理・会計

経理・会計（買掛金／売掛金）

財務

FP&A（財務計画＆分析）

内部監査

税務

トレジャリー

職種名

25パーセンタイル

50パーセンタイル

75パーセンタイル

アカウンタント（小企業／中企業）

4500000

5500000

6000000

アカウンタント（大企業）

6000000

7500000

8000000

シニアアカウンタント（小企業／中企業）

6500000

7500000

8000000

シニアアカウンタント（大企業）

8000000

9500000

12000000

アカウンティングマネージャー（小企業／中企業）

7500000

8500000

9000000

アカウンティングマネージャー（大企業）

9000000

11000000

13000000

アカウンティング・コントローラー／ディレクター（大企業）

12500000

16000000

20000000

25パーセンタイル

この職種における経験が浅く、必要とされるスキルと経験を習得中。

50パーセンタイル

上司の指示を仰ぐことなく、主要業務を遂行し、業務全般に精通している。

75パーセンタイル

高度な資格と経験を活かし、求められる職務を超えて業務を遂行でき、キャリアアップに意欲的。

経理・会計・財務分野におけるAIの導入は、まだ黎明期ですが、データ入力やレポート作成などの自動化により徐々に業務効率化が進んでいます。これにより、チームは反復作業の削減から戦略的業務に集中できるようになりつつあります。また、人手不足や生産性向上に対応するために、AIの知識やERP、Power BI、SAPなどの専門性を持った人材の需要は一層高まっています。

現状、経理・会計・財務分野でのAI利用は13%に留まり、87%は利用していません。同分野におけるAI導入は、まだ初期段階であることが見受けられます。* 現状、経理・会計・財務分野でのAI利用は13%に留まり、87%は利用していません。同分野におけるAI導入は、まだ初期段階であることが見受けられます。*

AIの活用手段としては、データ入力、文字起こしが42%を占め、予測分析とリスクアセスメントは27%。* AIの活用手段としては、データ入力、文字起こしが42%を占め、予測分析とリスクアセスメントは27%。*

2024年に日本企業は、人材不足、インフレへの対応、人材確保の必要性から、過去30年間で最大の賃上げを実現しました。2025年も経理・会計・財務分野では、引き続き人材不足に対応し、競争力を維持するために、賃上げ率は2～3%になると予想されます。賃上げを実現できない企業は、代わりに福利厚生と各種制度の拡充を検討する必要があるでしょう。

42%の企業が2025年に3～5%の賃上げを検討。* 42%の企業が2025年に3～5%の賃上げを検討。*

2025年は41%の企業が1～3%の賃上げを予定、1%未満の賃上げを予定している企業は8%のみ。** 2025年は41%の企業が1～3%の賃上げを予定、1%未満の賃上げを予定している企業は8%のみ。**

経理・会計・財務分野で需要が高い職種

経理・会計・財務分野で需要が高いスキルと経験

ビジネスインテリジェンスツール（TM1、Power BI、SQL、Tableau）／ERP／Advanced Excel

財務モデリング

ビジネスパートナーシップ

月末管理／地方税

この職種の適正な給与相場は？

経理・会計・財務分野で需要が高い資格・学位

CPA（公認会計士）／ACCA

金融関連の大学の学位

日商簿記（2級以上）

税理士

経理・会計・財務分野で採用が活発な業界

ヘルスケア

ビジネスサービス／コンサルティング

小売

製造

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本年収ガイドに記載されている給与水準は、当社が実施した綿密で入念なプロセスを経て、人材市場の実態を正確に反映させたものです。これらの数値は、ロバート・ハーフが採用に関わった全国の転職者の実際の報酬額に基づいています。

給与の一覧に表示された金額は初任給（その職種で新たに入社した人に対する報酬のみ）を対象としています。会社の規模や業種、リモートワークの有無などによって給与が変動する可能性があります。この試算には、賞与や福利厚生制度は含まれておりません。転職者の入社時点での経験レベルが様々であることを考慮し、給与はパーセンタイルおよびレンジで表示しています。

本年収ガイドの給与以外の内容は、第三者機関によるデータに基づいています。引用したデータの出典は、本文に明記しています。

出典：

^*BlackLine. 「AIを使いこなす経理人材になるには」.

^**ロイター. 「11月ロイター企業調査：25年春闘で実現可能な賃上げ率」.

^***ロイター. 「連合、来年春闘で5％以上の賃上げ要求へ」.