シニアエグゼクティブとその他の従業員、本質的な違いをご存知ですか? 今回は、職場でほかの働き手に差をつける特別な資質を取り上げます。キャリアの頂点を目指すには、懸命に学び、人より長時間働くことや、大きな昇進チャンスが巡ってくることを願う以外にも、明らかに多くの要素が関わっています。

リーダーシップの育成は簡単ではありません。昇進するにつれ、ポストの数は少なくなり、実際に頂点に上り詰めるのは全体のほんの一握りの精鋭です。取締役や社長の椅子に座るにはリーダーシップのスキル、極めて豊かなビジョンと強い推進力の他に、突出した独創力も求められます。

そして最も求められる能力こそが「問題解決能力」です。難しい課題に真っ向から対処し、重圧の中で正しい判断を下せるかどうかがダイヤの原石を見分ける方法です。ビジネスでも日々の生活でも、将来を見透かし次に来るものを正確に予測できる人などいません。それでも、さまざまな意味合いにおいて、シニアエグゼクティブにはその責任があり、誰からも「うらやましがられない」(=やっかいな)役目を負うことを求められます。

シニアエグゼクティブの仕事は、企業の有利な状況と危険性を見定め、将来的な動向に備え、戦略的な方向性を定めることです。成功を収めれば自分たち経営陣だけでなく、そこで働く従業員も称賛を浴び、報酬を受けることができますが、誤った方向に進み、予測どおりに事が進まなければ、それは経営陣の責任とみなされ、職を追われることにもなります。

正しい判断を下す

上層部による課題解決では、ビジネスリーダーとして「目標」と「阻害物」という観点で物事を検討する必要があります。企業の短期的、長期的な目標とは?その達成を阻害する課題は何でしょう。課題を突き止めるにはビジョンと明確な考えを持つ必要があり、それをもとに最善策を選びます。

通常、ビジネスの主な目的は企業で最大限の利益を上げ、結果としてそれを株主に還元することです。しかしこの大きな目標の達成には、たくさんの小さな目標の達成を積み上げる必要があります。利益を上げるには、サービスの質と生産性を向上し、得意先を増やし、安定的な雇用に取り組み、費用削減を可能にする新しく効率的な方法を見出す、といったさまざまな対策を必要とします。

ひとつの目標を達成する方法はさまざまであり、そのなかから最も有効なものを特定することこそが、シニアエグゼクティブの仕事です。先見の明をもって成功を阻む課題を見つけ出し、創造性を働かせて対処法を考えます。打開策が見つからないときは、その問題を回避して進むまったく新しい方法を考え出すことも必要です。

効果的な問題解決能力

シニアエグゼクティブのなかには、課題に対処するスピードに優れている人もいます。達成される結果はほかの人々と同じでも、与えられたすべての情報をもとに、あっという間に措置を講じます。反応の良さと対応の速さが増すことよって企業に鋭さが生まれ、競合他社が最善策を模索している間に対策を実行に移すことができます。

リーダーシップの方法はさまざまながら、頂点に立つビジネスリーダーは問題の可能性を素早く察知し、必要な調査分析を行い、解決するための決断を下す能力に優れています。ビジネスに直感を働かせ、強い信念を持っていなければなりません。しかし同時に、自分たちが常に答えを知っているわけではなく、打開のプロセスには助けを借りることも必要だという、実質的な感覚を備えていることも必要です。

シニアエグゼクティブは、組織内のあらゆる専門的知識を集め、場合により外部に助けを求めることも必要です。特定の決断の良し悪しを測るには、その分野に特化した知識やスキルを持つ個人を充当することがより望ましい場合があり、人々の意見を聞き相談することは理にかなっています。社長やCEOの役割は最終的な方策を決め、その決定に責任を取ることです。ただし、その段階に達する前に特定の課題について知識を深めておくことは可能です。

同様に、決断過程を改善する目的で技術的な打開策を活用することも可能です。デジタル時代において、企業ではどんどんと増え続ける膨大なデータを集積しています。そうしたデータの解析により事業の洞察力と知識を引き出すこともできるでしょう。データをどう読み取り、それをもとに適切な行動計画をどう立てるかはトップに立つリーダーの力量によります。

結論

シニアビジネスリーダーによる決断は、取締役、従業員、株主、顧客を含む組織内のあらゆる利害関係者に関わる可能性が高く、その肩には大きな責任がのしかかります。

課題に対する決断を固めるにはデータをはじめ、リーダー以外の専門家の知識といった利用可能なリソースを活用することが大切ですが、場合によっては自らのスキル、判断力、直感が主な手段となることもあり得ます。リーダーの評価は、時を経て自ら取った行動、取らなかった行動による結果から導き出されます。

将来のキャリア展望から、継続的なビジネスと組織の実行可能性にいたるまで、さまざまな要素が企業経営者の決断にかかっており、シニアエグゼクティブの役割には重い圧力がかかっていることは間違いありません。

役職に就くには、一歩踏み込む高度な資質と問題解決能力が求められます。上を目指すなら、求められる要素を知って、今からその準備を整えましょう。