クリティカルシンキングとは、批判的・懐疑的にものを見る思考法のこと。20年ほど前からビジネスのマネジメントや教育の分野で取り入れられるようになり、世界経済フォーラムの2016年会議(ダボス会議)でも、「2020年に必要なビジネススキル」の第2位に挙げられています。
批判的に考える、と聞くと、クレーマーのようなネガティブな印象を受けるかもしれません。クリティカルシンキングの本質はそこではなく、議論の前提条件が本当に正しいのか疑問を持って考えを深め、課題を解決していくためのものです。
目的は課題解決。日々の問いで、クリティカルな思考の癖をつける。
クリティカルシンキングは新たな発想を生むヒントとなります。ビジネスアイディアや新しいチャレンジをする際は、どうしても偏った、近視眼的な見方になります。クリティカルシンキングを行うことによって、あらゆる角度から複眼的に検証ができます。
ただし、批判の視野を広げすぎると、プロジェクトの推進力を失うことにもつながりかねません。また、懐疑的に見過ぎた結果、いたずらに時間を浪費してしまったり、ありきたりの安全なプロダクトにたどり着いてしまったりする危険性も念頭に置いておきましょう。
クリティカルシンキングのポイントは、最終目的である「課題の解決」を忘れないこと。そして、論点を絞っておくこと。論点の定まらない議論で時間を浪費しないよう、目的とテーマから軸をブレさせずに、思考と議論を深めましょう。
多様な価値観、思考の癖があることを前提に置くことも重要です。自分が常識だと思っていることは、他人にとっては非常識かもしれません。時には、違う価値観を持ったメンバーをアサインし、あえてクリティカルに考える機会をつくることも必要です。
そして最も大切なのは、疑問がなくなるまで問い続けること。あらゆる事柄に対して「なぜ?」「本当に?」と問い続け、深掘りを続けることで、思考の習慣が身についていきます。その過程で、また新たな気づきを得るかもしれません。