高い役職にある経験豊富な人にとってすら、退職を切り出し、その決意を上司に伝える会話というのは、難しい会話になる可能性があります。
日本では、このミーティングを計画する際に考えるべき点がいくつもあります。ここでは、退職を決意したことを上司に伝える際の切り出し方、伝え方をご紹介します。
適切な通知期間
最初に考えるべきことのひとつが、どれだけ事前に通知する必要があるかです。これは、いくつかの要因によって異なります。
- 期間不定の雇用契約を結んでいるか、それとも開始日と終了日が明確に規定された雇用契約を結んでいるか
- 会社があなたに何を期待しているか
- 後継者を見つけてトレーニングするのにどれだけ時間がかかるか
すべてのケースが個別に異なりますが、的には、少なくとも2週間前に通知することが義務付けられています。ただし、これが必ずしも好ましい期間というわけではありません。場合によっては、1カ月以上前の通知が慣習となっているためです。できるだけ早めに通知するのがベストです。
また、あなたとあなたのチーム、あるいは部署に、大事な締め切りやイベントの予定があるかどうかも考えるべきです。できれば、大きなプロジェクトの終了後に退職するのがベストです。大きなストレス要因が過ぎた後であれば、あなたの退職で生じる影響も軽減される可能性があります。
退職の意向を上司に伝えるためのミーティング
退職の意向を伝えるタイミングを決めたら、次は、上司と二人だけで話せるミーティングを設定する必要があります。ただし、まずは職場の状況に配慮し、上司がどれほどストレスを抱えることになるかを考慮すべきです。
前述のとおり、あまり忙しくない時期に退職を切り出すことができるのであれば、そのほうが好ましいと言えます。10~15分ほど時間を取ってもらえるよう依頼し、上司のオフィスが個室でない場合は会議室を予約します。上司がこの話をどう受け止めるかが予想できない場合は、金曜日の午後にこのミーティングを設定することを考えます。そうすれば、ミーティングの後に週末を挟むことができ、双方とも落ち着く時間ができます。
退職の切り出し方
この会話の目的は、退職の意思を伝えることに加え、上司との良好な関係を維持することであるべきです。良好な関係を保って円満に退職するためにも、礼儀正しく、敬意を示すことです。
まずは、上司からのサポートにお礼を言い、そのうえで、個人的な理由から退職することにしたと切り出します。退職の理由や、どうすれば退職を思い留まってもらえるかを、上司が聞いてくるかもしれません。が、この情報を上司と共有するかどうかは、あなたと上司の関係によります。上司が異議を唱えてきたとしても、あくまでも礼儀正しくふるまい、ただしきっぱりとした態度で臨むのがベストです。
退職に際して正式に取るべきプロセスがあるのであれば、このミーティングの際に上司に尋ねておきます。会社によっては、具体的なプロセスが決められていて、記入すべき書類も用意されています。一方、この種の詳細はあまり気にかけず、多くを期待しない会社もあります。これらの詳細を確認しておきましょう。
そして、このミーティングの終わりに、時間を取ってくれたことへのお礼を上司に伝えます。
その後、メールでこの会話の内容を詳細に確認します。これには、いくつかの目的があります。
- あなたが後に確認が必要になった場合に、見直すことができる
- 誤解があったり詳細に漏れがあったりした場合に、確認または説明する機会が上司にもたらされる
- 後で問題が生じた場合に、上司に言われたことをしたのだという証拠ができる
上司に言うべきでないこと
ハリウッド映画のように劇的に怒りをぶつけて会社を辞めるというのは、一度はやってみたいことかもしれませんが、実際には多くを語らないのが賢明です。プロフェッショナルな態度を保って、良い印象を残して円満退職することです。上司といずれまた同僚になることもあるかもしれません。
【不満を言わない】
完全に縁を切らないのがベストです。今は同僚や会社について不満を表明すべき時ではありません。建設的な批判を共有することは、上司と良好な関係があれば許容されますが、自信がない場合は慎重を期して、批判はしないことです。
【退職の理由は話さない】
これもまた上司との関係によりますが、退職の理由を話すのは適切なこともあれば、適切ではないこともあります。法的に言って、退職の理由を説明する義務はなく、あなたの胸の内に留めておくことができます。
【感情的にならない】
不安に感じたり、恐怖、怒り、興奮、場合によっては嬉しさも感じたりするかもしれません。が、これらの感情はすべて、誤解されたり、あなたに不利に使われたりする可能性があります。努めて穏やかに、プロフェッショナルに徹します。
【退職後に何をするかは話さない】
転職先が決まっていることもあれば、1年間の休養と称して旅に出ることもあるでしょう。転職の理由は何であれ、それを説明する義務はありません。場合によっては、言わないに越したことはないかもしれません。
まずは、上司からのサポートにお礼を言い、そのうえで、個人的な理由から退職することにしたと切り出します。退職の理由や、どうすれば退職を思い留まってもらえるかを、上司が聞いてくるかもしれません。が、この情報を上司と共有するかどうかは、あなたと上司の関係によります。上司が異議を唱えてきたとしても、あくまでも礼儀正しくふるまい、ただしきっぱりとした態度で臨むのがベストです。