社会にはさまざまな職種があります。自分に合った職種を見つけることで、よい転職先に巡り会うことができ、より活き活きした生活が送れるでしょう。本記事では、職種とは何かや代表的な職種について紹介します。自分に合った職種がわからない人は、ぜひ参考にしてください。
職種とは、仕事内容によって分けられた仕事の種類のことです。事務職や介護職などと呼ばれるものが該当します。厚生労働省の職種一覧には、大きく分けて以下のような職種があります。 ちなみに総合職や一般職も「職」がつきますが、職種ではありません。総合職や一般職は、企業での働き方を表した言葉です。総合職は、将来的に管理職や幹部候補になるために幅広い役割を担い、一般職は総合職をサポートします。

大分類

職種名(代表例)

管理的職業従事者

管理的職業従事者(部長・支店長)

専門的・技術的職業従事者

研究者、機械技術者、医師、保育士、小・中学校教員、デザイナー、音楽家 など

事務従事者

一般事務従事者、電話応接事務員 、外勤事務従事者(市場調査員) など

販売従事者

販売店員 、販売類似職業従事者(不動産仲介人)、金融営業職業従事者(銀行外務員) など

サービス職業従事者

介護職員、看護助手、理容・美容師、身の回り世話従事者(ホテルの接客係)など

保安職業従事者

警備員、その他の保安職業従事者(プール監視員)

農林漁業従事者

農林漁業従事者(植林作業員・漁師・造園師)

生産工程従事者

製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者、食料品・飲料・たばこ製造従事者、自動車整備・修理従事者 など

輸送・機械運転従事者

バス運転者、車掌、発電員・クレーン・ウインチ運転従事者 など

建設・採掘従事者

建設駆体工事従事者、大工・配管従事者、電気工事従事者、土木従事者 など

運搬・清掃・包装等従事者

船内・沿岸荷役従事者、その他の運搬従事者(引越作業員)、ビル・建物清掃員 など

職種は個人の仕事内容を指す言葉に対し、業種は事業の種類を指します。例えば、「建設業(業種)の一般事務(職種)」や「飲食サービス業(業種)の警備員(職種)」といった使い方をします。業種は一つの会社につき一つであることがほとんどですが、職種は一つの会社の中で複数ある点も異なるところです。 総務省の「日本標準産業分類」では業種を以下の20種類に分類しています。
  • 農業、林業
  • 漁業
  • 鉱業、採石業、砂利採取業
  • 建設業
  • 製造業
  • 電気・ガス・熱供給・水道業
  • 情報通信業
  • 運輸業、郵便業
  • 卸売業、小売業
  • 金融業、保険業
  • 不動産業、物品賃貸業
  • 学術研究、専門・技術サービス業
  • 宿泊業、飲食サービス業
  • 生活関連サービス業、娯楽業
  • 教育、学習支援業
  • 医療、福祉
  • 複合サービス事業
  • サービス業(他に分類されないもの)
  • 公務(他に分類されるものを除く)
  • 分類不能の産業
職業とは、肩書のことです。どのように生計を立てているのか、またはどのような働き方や生活をしているのかで分類されます。「自営業」や「派遣社員」の他、「主婦」や「学生」なども、職業といえます。使い方としては「私は会社員(職業)で建設業(業種)の事務職(職種)をしています」といったものが一例です。 また、職種と同様に仕事内容を表すこともあります。令和4年版 厚生労働省編職業分類によれば、職業は大きく分類して以下の15種類に分かれています。
  • 管理的職業
  • 研究・技術の職業
  • 法務・経営・文化芸術等の専門的職業
  • 医療・看護・保健の職業
  • 保育・教育の職業
  • 事務的職業
  • 販売・営業の職業
  • 福祉・介護の職業
  • サービスの職業
  • 警備・保安の職業
  • 農林漁業の職業
  • 製造・修理・塗装・製図等の職業
  • 配送・輸送・機械運転の職業
  • 建設・土木・電気工事の職業
  • 運搬・清掃・包装・選別等の職業
どのような職種があるか知っておくと、転職のときに役立ちます。厚生労働省の職種一覧を参考に代表的な職種を10種類紹介しますので、見ていきましょう。

営業

仕事内容

  • 自社で取り扱っている商品やサービスの販売
  • 営業先を決めるための顧客リストの作成
  • 営業電話、新規開拓や既存顧客への訪問・商談

必要なスキル

  • コミュニケーションスキル
  • プレゼンテーションスキル
  • 論理的思考力

今後の展望

  • 顧客との信頼関係を築く仕事であり、AIで代用できない
  • デジタル化が進み最先端のマーケティングツールなどを使いこなせる技術力が求められる

年収の目安

具体的な職種名

  • カントリーマネージャー
  • カスタマーサクセスマネージャー
  • カスタマーサクセス責任者/カスタマーサクセスディレクター
  • 営業責任者
  • サービス責任者
  • プロフェッショナルサービスコンサルタント
  • パートナーセールス担当者
  • ソリューションエンジニア責任者
  • セールスマネージャー
  • テクニカルアカウントマネージャー
  • テクニカルサポートエンジニア

企画/マーケティング

仕事内容

  • 商品を広めるための営業企画や宣伝
  • 市場調査・分析
  • 商品やサービスの開発・運用

必要なスキル

  • 分析スキル
  • ブランディングスキル
  • 論理的思考力

今後の展望

  • 高度なAIテクノロジーを使ったマーケティング戦略が必要になる
  • 環境問題や社会問題を考慮した企画の立案が求められる

年収の目安

具体的な職種名

  • メディアマネージャー
  • コミュニケーション・ストラテジスト
  • カントリーマネージャー(デジタルプラットフォーム)
  • チーフマーケティングオフィサー(CMO)/チーフデジタルオフィサー(CDO)
  • CRMマネージャー
  • デジタルマーケティングマネージャー
  • デジタルプロジェクトマネージャー
  • デジタル責任者/デジタルディレクター
  • Eコマース責任者/Eコマースディレクター
  • マーケティングマネージャー
  • メディアディレクター
  • オムニチャネルマネージャー

人事/総務

仕事内容

  • 人材の採用・配置・育成
  • 労務管理・勤怠管理
  • 社内外の窓口業務・備品管理・イベントの企画運用

必要なスキル

  • コミュニケーションスキル
  • 事務処理スキル
  • スケジュール管理スキル

今後の展望

  • 事柄を処理するだけの保守的な存在から、企業成長に向けて仕組みを変化できるスキルが求められる

年収の目安

具体的な職種名

  • HRビジネスパートナー
  • シニア HRビジネスパートナー
  • HRディレクター
  • HRマネージャー
  • タレントアクイジションマネジャー
  • リクルーター
  • C&Bマネージャー
  • ラーニング&ディベロップメントマネージャー
  • グローバルHRIS(人事情報システム)
  • タレントマネジメント

経理

仕事内容

  • 領収書・請求書の整理と経費の精算
  • 請求書・月次決算書の発行
  • 給与計算
  • 確定申告・年末調整・決算書の作成

必要なスキル

  • 会計スキル
  • パソコンスキル
  • コミュニケーションスキル

今後の展望

  • 自動化ツールの普及によって業務の一部は自動化するものの、最終的には人間の判断が必要になる
  • 政府のDX化推奨によりペーパーレス化が進む

年収の目安

具体的な職種名

  • アカウンタント
  • ファイナンスマネジャー
  • F&Aマネジャー
  • 税務マネジャー
  • トレジャラー

コンサルタント

仕事内容

  • クライアントへのヒアリング
  • ヒアリング結果をもとに経営戦略の策定・プロジェクトチームの結成
  • 市場分析

必要なスキル

  • コミュニケーションスキル
  • プロジェクトマネジメントスキル
  • 論理的思考力

今後の展望

  • 企業のDX推進にあたりコンサルタントの人材が不足しているため、将来的に見ても需要がある
  • 適切な経営戦略を立てるためにも、日々新しいテクノロジー知識などを身につけ、柔軟な対応が求められる

年収の目安

具体的な職種名

  • ITコンサルタント
  • テクノロジー/DXシニアコンサルタント
  • テクノロジー/DXマネージャー
  • テクノロジー/DXシニアマネージャー
  • テクノロジー/DXシニアディレクター
  • テクノロジー/DXパートナー
  • SAP/ERP/CRMコンサルタント
  • SAP/ERP/CRMシニアコンサルタント
  • SAP/ERP/CRMマネージャー
  • SAP/ERP/CRMシニアマネージャー
  • SAP/ERP/CRMシニアディレクター
  • SAP/ERP/CRMパートナー
  • アナリスト(戦略コンサルティング)
  • コンサルタント(戦略コンサルティング)
  • プロジェクトリーダー/エンゲージメントマネージャー(戦略コンサルティング)
  • プリンシパル(戦略コンサルティング)
  • パートナー(戦略コンサルティング)

デザイナー

仕事内容

  • Webサイト・表紙・キャラクターなどを、クライアントの要望に沿ってデザインする

必要なスキル

  • デザインの基礎スキル
  • アートワークスキル
  • デザインツールを扱うスキル

今後の展望

  • 紙媒体のデザインは、ペーパーレス化などにより需要が低くなると見込まれる
  • WebデザイナーやIT/UX デザイナーは、デジタル広告市場の拡大により、今後も需要が高いと考えられる。AI技術を活用した制作スキルも求められる

年収の目安

具体的な職種名

  • Webデザイナー
  • UI/UXデザイナー
  • ゲームデザイナー
  • キャラクターデザイナー
  • イラストレーター
  • グラフィックデザイナー
  • エディトリアルデザイナー
  • DTPデザイナー
  • ブックデザイナー
  • アートディレクター
  • プロダクトデザイナー
  • インダストリアルデザイナー
  • ファッションデザイナー
  • テキスタイルデザイナー
  • ジュエリーデザイナー
  • インテリアコーディネーター

エンジニア

仕事内容

  • クライアントの要望に合わせ、システム・ソフトウェア・ネットワークなどの設計・構築・運用を行う

必要なスキル

  • ITの知識
  • プログラミングスキル
  • 問題発見・解決スキル

今後の展望

  • DX動向2024より、IT人材が「大幅に不足している」と回答した企業の割合が年々増加していることから、将来的にも需要が非常に高い
  • AI、機械学習、IoTといった最先端技術を取り扱う人材に対して、高い報酬水準の設置を課題とする企業が増えている

年収の目安

具体的な職種名

  • インフラエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • クラウドエンジニア
  • サーバーエンジニア
  • データベースエンジニア
  • セキュリティエンジニア
  • スマホアプリエンジニア
  • フロントエンド/マークアップエンジニア
  • バックエンドエンジニア
  • データサイエンティスト/データアナリスト
  • データエンジニア
  • 機械学習/NLP/AIエンジニア
  • プロジェクトマネージャー
  • プロダクトマネージャー
  • システムコンサルタント

アナリスト

仕事内容

  • 企業内外のデータ情報を収集・分析し、企業の意思決定をサポートする
  • 分析した結果を視覚的にわかりやすくまとめる

必要なスキル

  • 情報分析スキル
  • 論理的思考力
  • 問題解決スキル

今後の展望

  • 日本政府が推進しているDX化においてデータ分析は欠かせない存在であるため、将来的に需要が高い
  • IT業界・金融業界にとどまらず、今後はより多くの業種で活躍の場が広がる

年収の目安

具体的な職種名

  • ビジネスアナリスト
  • データアナリスト
  • アプリケーションマネージャー
  • ビジネスリレーションシップマネージャー(BRM)
  • アーキテクト(アプリケーション、ソリューション、システム、インフラ、エンタープライズ)
  • 社内ITマネージャー
  • IT監査/ITリスクスペシャリスト
  • ITディレクター/最高情報責任者(CIO)/最高技術責任者(CTO)
  • ITガバナンススペシャリスト
  • IT戦略/計画/コンサルティング
  • ネットワーク & サーバーサポート/エンジニア
  • PMO
  • プログラムマネージャー/ディレクター
  • プロジェクトマネージャー/シニアプロジェクトマネージャー
  • サービスデリバリーマネージャー

プロジェクトマネージャー

仕事内容

  • クライアントの要望をヒアリングし、予算・人員・納期などプロジェクトの計画を作成する
  • プロジェクト全体のスケジュールを管理し、進捗状況を経営陣などに報告する

必要なスキル

  • マネジメントスキル
  • 問題解決スキル
  • コミュニケーションスキル

今後の展望

  • DX市場は1兆3,821億円(2020年)から6兆5,195億円(2030年)まで成長する見込みであり、需要が高まる(参照:富士キメラ総研2022富士キメラ総研2023
  • DX化の推進によりプロジェクトが複雑化し、高度なプロジェクトを管理・進行できるマネージャーが必要となる

年収の目安

具体的な職種名

  • アプリケーションマネージャー
  • ビジネスアナリスト
  • ビジネスリレーションシップマネージャー(BRM)
  • アーキテクト(アプリケーション、ソリューション、システム、インフラ、エンタープライズ)
  • 社内ITマネージャー
  • IT監査/ITリスクスペシャリスト
  • ITディレクター/最高情報責任者(CIO)/最高技術責任者(CTO)
  • ITガバナンススペシャリスト
  • IT戦略/計画/コンサルティング
  • ネットワーク & サーバーサポート/エンジニア
  • PMO
  • プログラムマネージャー/ディレクター
  • サービスデリバリーマネージャー
転職活動では、前職の経験や知識を活かして転職先を探すパターンと、未経験の職種(業種)に挑戦する2つのパターンがあります。それぞれについて見ていきましょう。
現職と同じ職種や業種内で転職する場合は、即戦力として期待されます。 ポイントは、同じ職種や業種なのになぜ転職する必要があるのかを説明できるようにすることです。前の職場ではチャレンジできなかったことが応募先ではできるなど、ポジティブな理由が望ましいです。 企業が何を望んでいるのかを研究したうえで、自分の実績と照らし合わせ、応募理由を説明できるようにしておきましょう。
転職活動を機に新たな職種や業種に挑戦することも可能です。未経験の職種や業種に挑戦する場合でも、前職の経験で活かせるところを見つけることが大切です。 例えば、現職がデザイナーでコンサルタントに転職したい場合、クライアントにヒアリングし要望に応える部分は通ずるところがあります。また、アートワークに直接関わらなくても、その知識を活かして企画提案を行ったりスタッフを配置したりすることができます。前職で活かせる部分を最大限にアピールし、自分が企業に貢献できる人材であることを伝えましょう。 また、直接的な実績が足りない分、成長意欲やキャリアビジョンなどスキル以外の面でのアピールや、資格を取得しておくことなども大切です。
転職の際に自分に合った職種の見つけ方としては、以下の3つがおすすめです。
転職活動においては自分自身を知ることが大切です。自己分析することで、自分の短所・長所・適性・性格などを把握できます。 自己分析の方法には以下のようなものがあります。 自己分析は時間のかかる作業です。そのため、「自己分析アプリ」や「自己分析のサービス」なども利用してみましょう。いくつかの質問に答えるだけで、自分の特徴や性格、強みなどがおおよそわかり、自分を知る手助けになります。

自己分析の種類

やり方

自分史

自分の人生を年表や時系列にまとめ、振り返る方法。過去の出来事から自分の強みや得意なことなどを見つける。

モチベーショングラフ

過去の出来事による自分のモチベーションの上げ下げをグラフにまとめ、自分の価値観を探る方法。仕事を選ぶ際の判断基準として役立てる。

マインドマップ

一つのキーワードから他のキーワードを枝分かれ式に連想していき、自由に紙に書きだすことで、自分の考えを可視化する方法。さまざまな色を使って作成するため、自分の価値観や可能性がイメージしやすくなる。

Will・Can・Must

Will(やりたいこと)Can(できること)Must(会社に求められていること)を書き出し、3つが重なり合う共通部分を見つける方法。企業とのミスマッチを防ぐ。

 

世の中にはさまざまな職種があり、自分の知らない職種の中に、相性の良い職種があるかもしれません。そのため、多くの職種を研究することが大切です。 まずは、自己分析で自分の強みと弱みを明確にします。それから、本記事で紹介した代表的な職種から見ていきましょう。興味のある職種があったら、その職種をさらに細分化し、自分の特徴と照らし合せながら相性を確認します。
自分一人で作業が難航する場合は、転職エージェントに相談してみましょう。転職エージェントは多くの人の転職例を知っているため、参考になる情報があるかもしれません。第三者からの意見を聞くことで、自分では気がつかない新たな一面を発見できる場合があります。 ロバート・ハーフは、外資系・日系グローバル企業への転職サポートを得意としています。転職活動に役立つ年収ガイドも併せてご覧ください。
転職活動を成功させるには、自分に合った職種を見つけることがカギです。どのような職種があるのかを知り、自分の強みが活かせる職種を選びます。 まずは、本記事で紹介した代表的な職種を中心に、自分に合った職種を見つけましょう。「自分に合った職種がわからない」「転職活動が難航している」といった場合は、ロバート・ハーフにご相談ください。