目次
- フルスタックエンジニアとは?
- フルスタックエンジニアの需要と将来性
- フルスタックエンジニアの仕事内容
- フルスタックエンジニアの年収
- フルスタックエンジニアの求人例
- フルスタックエンジニアに必要なスキル・知識
- フルスタックエンジニアの仕事に役立つ資格
- フルスタックエンジニアのキャリアパス
- フルスタックエンジニアになるためのロードマップ
- フルスタックエンジニアに向いてる人の特徴は?
- フルスタックエンジニアのメリット・デメリット
- フルスタックエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
フルスタックエンジニアの求人
フルスタックエンジニアは、フロントエンドからバックエンドまで幅広く業務をこなし、一人でシステム開発できるのが特徴です。担当する領域が広いことから、さまざまな場面で活躍しています。
本記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容や年収、資格、将来性について解説します。フルスタックエンジニアを目指している人や転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
フルスタックエンジニアとは?
フルスタック(full-stack)エンジニアとは、複数の業務を一人で担えるエンジニアのことです。複数の業務についての定義はなく、ソフトウェア開発においてフロントエンドからバックエンドまで幅広い領域を担当するエンジニアや、システムの計画から開発・運用までこなすエンジニアなどが含まれます。
一般的にシステムを開発するときは、分野や過程ごとに専門家が配置されますが、それらを一人で担うのがフルスタックエンジニアです。小規模の開発であれば、一人で担当したほうがプロジェクトの進行が効率的になり、コストを抑えることができます。とくに、スタートアップ企業や中小企業などリソースが限られている場で活躍しています。
フルスタックエンジニアは一人でシステム開発をすることもあれば、チームの補佐役として関わるケースや、複数のフルスタックエンジニアがチームになって開発するケースもあります。
フルスタックエンジニアとシステムエンジニア(SE)の違い
システムエンジニア(SE)は、情報システム全体の設計や要件定義などの上流工程を主に担当し、技術的な実装に直接関与することは多くありません。進行管理や問題解決のための計画立案など、プロジェクト全体を管理することが求められます。
一方のフルスタックエンジニアは、上流工程を担当することもありますが、プログラミングやシステム構築など下流工程がメインになります。下流工程と一言で言っても、フロントエンドやデータベース、セキュリティなど分野は多岐に渡り、それらを一人で担うのがフルスタックエンジニアです。そのため求められる知識や技術も幅広いです。
「フルスタックエンジニア」は死語?まだ使われる?
フルスタックエンジニアという言葉は、死語ではなく現在も使われてる言葉です。しかし、言葉のイメージと実態が異なる場合も見られます。フルスタックの「フル(full)」は「すべて」を意味しますが、技術が高度化するとすべての技術力を兼ね備えるのは困難です。
かつては、フロントエンドとサーバサイドが担当できればフルスタックエンジニアと見なされることが多かったですが、、現在では「アプリの開発とインフラ開発ができる」「上流工程から下流工程まで担当できる」など、意味が多様化しています。
求人では「フルスタックエンジニア」としての募集はまだあるものの、業務内容に誤解がないよう近年では「ソフトウェアエンジニア」として募集しているケースも少なくありません。応募する際には自分のやりたいことやスキルと一致しているか、仕事内容をよく確認しておくことが重要です。
フルスタックエンジニアの需要と将来性
IT人材が不足している現在において、フルスタックエンジニアは需要のある職種だといえます。とくに、予算やリソースに制約があるスタートアップ企業や中小企業では需要が高いです。一人で広範囲をカバーできるため引き継ぎの手間がなく、プロジェクトのスピードアップやコスト削減につながります。
技術の高度化が進めば、フルスタックエンジニアに求められるスキルも上がると見られます。広く浅い知識では対応できないため、分野をしぼって専門性を持つことが重要です。フルスタックの概念が多様化するにつれ、フルスタックエンジニアという呼称はなくなっていくかもしれませんが、複数の役割を持つエンジニアの需要はなくならないでしょう。
フルスタックエンジニアの仕事内容
フルスタックエンジニアの仕事内容は、主にフロントエンド開発、バックエンド開発、アプリ開発、インフラの構築・保守の4つにわかれます。それぞれについて見ていきましょう。
フロントエンド開発
フロントエンドとは、入力フォーマットやクリックボタンなど、Webサイトやアプリケーション上でユーザーが直接触れる部分を指します。フロントエンドを工夫することは、ユーザーの満足度につながります。
フロントエンド開発では、HTMLやCSS、JavaScriptなどのフレームワークを用いて、Webデザイナーがデザインしたものを実装化します。ユーザーが使いやすいと感じられるユーザーインターフェース(UI)を作成することが、フロントエンド開発での重要な部分です。
アプリ開発
フルスタックエンジニアは、Webアプリやモバイルアプリ、デスクトップアプリなどの開発を行うこともあります。アプリケーションシステムの設計からプログラミング、開発・運用まで担います。アプリケーションの種類によって必要なプログラミング言語が異なります。例えば、WebアプリであればJavaScriptやPHP、モバイルアプリであればKotlinやSwiftなどの知識が必要です。新しくプログラミング言語を学ぶ際には、構文が似ているものから習得すると良いでしょう。
インフラの構築・保守
バックエンド開発の一つとして、インフラの構築・保守があります。Webサイトやアプリケーションを運用するために必要なサーバーやネットワークの設定などを行います。クラウドコンピューティングサービスを利用すれば、クラウド上でインフラを構築することも可能です。アプリケーションシステムを運用環境に移行するデプロイメントも業務の一つです。
本来、インフラエンジニアが担当する分野ですが、フロントエンドとバックエンドの開発ができるフルスタックエンジニアが携わることも少なくありません。
フルスタックエンジニアの年収
年収ガイドを見る
ロバート・ハーフの自社データでは、フルスタックエンジニアの年収は650万〜1,050万円です。経験やスキル、資格の有無などにより年収がアップします。
以下に関連職種の平均年収もご紹介しますので、参考にしてみてください。
また給与水準や採用市場に関する最新動向や、転職情報に役立つ情報をまとめた「年収ガイド」もぜひ参考にしてください。
職種
| 経験値が浅い場合
| 平均的な経験値の場合
| 優れた経験値がある場合
|
バックエンドエンジニア
| 530万円
| 830万円
| 1,250万円
|
ブロックチェーンエンジニア
| 520万円
| 820万円
| 1,220万円
|
クラウドエンジニア/アーキテクト
| 630万円
| 830万円
| 1,250万円
|
CTO(最高技術責任者・新テクノロジー)/エンジニアリングVP
| 1,000万円
| 1,350万円
| 1,670万円
|
DevOps/SREエンジニア
| 750万円
| 950万円
| 1,250万円
|
エンジニアリングマネージャー
| 950万円
| 1,250万円
| 1,450万円
|
フロントエンジニア
| 650万円
| 850万円
| 1,050万円
|
機械学習/NLP/AIエンジニア
| 650万円
| 1,050万円
| 1,350万円
|
プロダクトマネージャー/ソフトウェアアーキテクト
| 750万円
| 950万円
| 1,350万円
|
QAエンジニア/テスター
| 500万円
| 700万円
| 900万円
|
ソリューションエンジニア
| 800万円
| 1,100万円
| 1,400万円
|
IT/UXデザイナー
| 550万円
| 750万円
| 950万円
|
職種
| ソフトウェア・エンジニア
|
想定年収
| 800万~1,100万円
|
職務内容
| - 開発チームと協力してソフトウェア・ソリューションを考案する。
- クライアントサイドおよびサーバーサイドアーキテクチャの設計と実装
- 機能的に優れたシステム、データベース、アプリケーションの開発と管理
- 高い標準を維持し、APIや慣用的なコードを記述する。
- 保守性、応答性、効率性を確保するためのソフトウェアのテスト
- ソフトウェアのトラブルシューティング、デバッグ、アップグレード
- セキュリティとデータ保護のベストプラクティスの理解と適用
- 技術文書の作成
<技術スタック>- 言語 Java、Kotlin、JavaScript、TypeScript、Go、C#など。
- フレームワーク Spring、js、Nuxt.js、.NET Frameworkなど。
- クラウド AWS、GCP、またはAzure
|
応募資格
| - ソフトウェア・エンジニアまたは同様の職務経験3年以上
- ビジネスレベルの日本語力(N2以上)
以下のフレームワークまたは言語の使用経験
- Java、C#、Typescript、Golang
- Spring (Java または Kotlin)
- js または Nuxt.js または Quasar
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勤務地
| 東京都内
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フルスタックエンジニアに必要なスキル・知識
フルスタックエンジニアに必要とされる代表的なスキルを紹介します。
プログラミングスキルとフレームワークの知識
フルスタックエンジニアには、以下のようなプログラミング言語を扱うスキルとフレームワークの知識が必要です。
プログラミングスキルとは、プログラミング言語を利用してコンピューターに指示する仕組みを作るスキルのことです。Webサイトやアプリケーションを作成するには欠かせません。
フレームワークは、エンジニアの開発を手助けするために作られた枠組みのことです。フレームワークに沿ってプログラミングすることで、作業時間が短縮できます。
| プログラミング言語
| フレームワーク
|
フロントエンド開発
| JavaScript、HTML、CSS
| React、Vue.js
|
バックエンド開発
| Java、Python、Ruby、PHP
| Django、Spring Boot
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アプリ開発
| iOSアプリ:Swift
Androidアプリ:Java、Kotlin
Webアプリ:JavaScript、Java、Python、Ruby、PHP
| React Native、Ionic、Xamarin
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ミドルウェア・OSに関するスキル
アプリ開発にも関わるフルスタックエンジニアにとって、ミドルウェアやOSに関するスキルも必要です。
OSとは、ユーザーとハードウェアもしくはハードウェアとソフトウェアの間に立って、プログラムが正常に動くように管理するものです。パソコンやスマホでユーザーが出した指示を処理し、指示通りに可動させます。とくにLinuxやWindowsといった主要なOSの基本操作や設定などは理解しておきましょう。
ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間に立って両者を補佐するソフトウェアです。OSのみでもアプリ動作は可能ですが、ミドルウェアを利用すると高度な処理ができ、開発時間やコストの削減にも有用です。MySQLなどのデータベース管理システムや、ApacheなどのWebサーバーなどがミドルウェアの一例です。
クラウドサービスに関する知識
インフラ整備のために、クラウドインフラサービスに関する知識もあると良いでしょう。インターネット上でサーバーやネットワークなどのリソースを借りることができるサービスで、インフラ構築のコストが抑えられたり、場所を選ばず利用できたりするとあって、今後も普及が見込まれています。
現在では、AWSやAzure、Google Cloud Platform(GCP)といったクラウドプラットフォームが主要なサービスです。フルスタックエンジニアは、これらのサービスを適切に選択・活用できる能力が必要です。とくに開発の基盤ともいえる、仮想サーバーやストレージ、データベースサービスなどのスキルは身につけておきましょう。
また、インフラ整備以外にも、DockerやKubernetesの知識があれば、アプリケーションの開発に活用できます。
フルスタックエンジニアの仕事に役立つ資格
フルスタックエンジニアの仕事に役立つ資格として、ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、データベーススペシャリスト試験の3つを見ていきましょう。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、独立法人情報処理推進機構(IPA)が提供している国家試験です。経営戦略に基づいたIT関連の提案力が問われるため、ITスキルはもちろんのこと、事業課題への理解力やスケジューリング力なども求められます。合格率は15%前後[1] と難関です。CTOやITコンサルタントへキャリアアップをする際に役立つでしょう。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験も、IPAが提供している国家試験の一つです。要件定義やシステム設計など上流工程におけるスキルが主に評価されます。他にも、運用・保守過程を含めたソフトウェアに関する知識や、テストツールに関するスキルも多く問われます。
ITストラテジスト試験と同様に合格率が15%前後と難関ですが、取得すればプロジェクトでの設計力や問題解決能力を客観的に証明することが可能です。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験も、IPAが提供している国家試験の一つです。データベースの設計から構築、運用、管理に至るまでの知識とスキルが問われるため、複数の業務をこなすフルスタックエンジニアの仕事に活かせるでしょう。
アプリケーション開発において、データベースに関する知識が求められますので、取得して損のない資格です。合格率は約17%と難易度の高い試験となっていますので、実務経験を積んでからの取得をおすすめします。
フルスタックエンジニアのキャリアパス
フルスタックエンジニアのキャリアパスは、幅広いスキルセットを活かし、さまざまな方向に展開できます。
開発を中心とした技術面に重点を置きたいなら、「クラウドエンジニア」「ITスペシャリスト」、チームの管理面に力を入れたいのであれば、「プロジェクトリーダー」や「プロダクトマネージャー」などがあります。
経営と技術を結びつけた戦略面に携わるなら「CTO(最高技術責任者)」「ITアーキテクト」などがあり、経営に関する知識・技術力・リーダーシップなど幅広い能力が求められます。技術的な意思決定を行うこともあるため、最新の技術に常に興味を持っていることが必要です。
他にもフリーランスとして独立することも可能です。フルスタックエンジニアの概念は広いため、どのようなスキルを持っているのかクライアントに明確に提示しておくと良いでしょう。
フルスタックエンジニアになるためのロードマップ
フルスタックエンジニアになるためのロードマップについて解説します。
基本的な知識を身につける
プログラミング言語やOSなど、IT業界で広く応用がきく知識から身につけます。フルスタックエンジニアには必要なスキルや知識が多くありますが、まずは専門分野を決め、そこから徐々にスキルを広げていくと良いでしょう。専門学校に通ったり、参考書を活用したりする方法があります。初級向けの資格も視野に入れておくと、学習目標の目安になります。
下流工程の経験を積む
次は実践に移す段階です。下流工程とはシステム構築過程の後半部分を指します。具体的には、システム開発や運用など技術力が伴う部分です。プログラミングスキルやインフラに関する知識を活かして、設計通りに作成します。
上流工程の経験を積む
上流工程は、システム構築過程の前半部分です。クライアントの要望を聞いたうえで要件定義し、システムを設計したりプロジェクト計画を立てたりします。下流工程よりも高いコミュニケーション力やマネジメント力が求められます。上流工程の経験を積むことで、システム構築全体の流れが把握でき、下流工程の作業にも役立てられます。
専門分野を決める
システム構築過程をすべて経験したあとは、どの分野の専門性を高めるのかを決めます。フルスタックエンジニアの業務範囲は広いですが、その中でも専門分野を決めておくと仕事の軸になります。仮想化技術やデータベースなど、特化できるスキルはさまざまです。もしくは、小規模なシステムの設計から開発まで構築過程の全体に関わったり、コンサルタント業務やマネジメント業務に移行したりするのも選択肢です。自身の特性と照らし合わせてみましょう。
フルスタックエンジニアに向いてる人の特徴は?
フルスタックエンジニアに向いている人は、以下の通りです。
幅広い分野に興味を持つ人
学習意欲が高い人
自主性と責任感を持つ人
マルチタスクが得意な人
フルスタックエンジニアは幅広い知識が要求されるため、IT技術への好奇心があり学習意欲が高い人に向いています。IT技術は進化が速いため、常に学び続ける必要があります。
また、通常複数人で行う作業を一人でこなすため、マルチタスクが得意で、自身で判断する自主性と最後までやりぬく責任感も必要でしょう。
フルスタックエンジニアのメリット・デメリット
フルスタックエンジニアは、幅広い知識があることが転職やキャリアアップの際にも大きな武器となります。システム全体に関与し各部分の連携を理解しているため、プロジェクトのリーダー的な地位に就くことも考えられます。
デメリットとしては、幅広い知識を持つ反面、専門性に欠ける場合があることです。もしくは専門性を持っていたとしても何でもこなせるエンジニアとして見られることで、イメージと実際のギャップが起こることもあります。また、技術の習得に時間がかかり、学習が負担に感じられることもあるでしょう。
フルスタックエンジニアに関するよくある質問
フルスタックエンジニアに関するよくある質問について見ていきましょう。
フルスタックエンジニアとは何ですか?
フルスタックエンジニアとは、複数のエンジニアリングスキルを持ったエンジニアのことです。一人でシステム全体を設計・開発・運用したり、フロントエンド開発とバックエンド開発を一手に引き受けたりします。データベース管理、サーバー管理、クラウドインフラなどのスキルを併せ持っていることが多く、プロジェクトの成功に大きく貢献する重要な役割を担っています。
一人で複数の役割を担うことができるため、小規模なスタートアップ企業などで重宝され、コスト削減や開発スピードの向上に寄与しています。
フルスタックエンジニアになるには何年かかりますか?
フルスタックエンジニアになるのに必要な年数は、3~5年程度です。既にフロントエンド、バックエンド、インフラなどの特定の分野で経験がある場合は、1~3年程度かかります。個人差はありますが、幅広いスキルが求められるため継続した学習が必要になります。
フルスタックエンジニアが「いらない」と言われる理由は?
フルスタックエンジニアは、システムの設計・開発・運用を一人でこなせる分、「器用貧乏」や「中途半端」といった印象を持たれる場合があります。特定の分野で専門的な知識や技術が求められる場面では、専任のエンジニアに比べて力不足と思われてしまうためです。
しかし、プロジェクト全体を俯瞰して設計から開発まで可能なことは、フルスタックエンジニアの強みでもあります。とくに、リソースが限られている場面では効率的なプロジェクト進行やコスト削減に貢献できるでしょう。ITの人材不足に直面した際にも、複数のスキルがあるエンジニアは重宝されるはずです。
まとめ
レジュメを提出して、相談する
フルスタックエンジニアの仕事内容や年収、スキル、資格などについて解説しました。フルスタックエンジニアは幅広い知識とスキルがあるため、需要が高く将来性があります。転職やキャリアアップの幅も広がるでしょう。
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