優秀なマネージャーになるには、高い人材管理能力(マネジメント能力)が求められます。業界・業種にかかわらず、企業の生産活動において従業員の力は欠かせません。
マネージャーは、従業員一人ひとりの能力開発とチームワークの発揮により、日々の生産性を高めるように従業員に働きかけていくことが重要です。実際に、優れたマネージャーのもとで働く従業員は、仕事に満足し、自らの職務に一生懸命に打ち込み、エンゲージメント(愛社精神や仕事に対する熱意)も高い傾向が見られます。こうした幸福度の高い従業員は、将来に渡って会社に利益をもたらします。
しかし、適切な人材管理を行うために、具体的にどういったことに取り組めば良いか迷われる方も多いでしょう。そこで本記事では、効果的な人材管理に向けた12のポイントを紹介します。
将来を担うマネージャー育成にお悩みの経営者や人事担当者は、ぜひ本記事を参考に自社に必要なマネージャー像を描いてみてください。現在マネージャーの方が自身のマネージメント能力を見直す際にもお役に立てるかと思います。
人材管理能力に長けたマネージャーになるためのポイント12選
- 従業員の存在を承認する
- 感謝の気持ちを示す
- 明確なコミュニケーションを図る
- 傾聴する
- 意思決定はマネージャー自身が行う
- 従業員の達成を信じる
- 従業員に自由を与える
- トラブルを解決する
- キャリア成長を支援する
- 従業員の手本になる
- 誠実さを持つ
- プロフェッショナルスキルと知識を磨き続ける
ここからはそれぞれについて詳しく説明していきます。
1. 従業員の存在を承認する
上司として、従業員が担う役割と日々の貢献を認め、その価値を承認することを意識しましょう。価値を認められて嫌な気分になる人はいません。従業員を一人の人間として認めることで、お互いに尊敬の念が生まれます。
一方、マネージャーが従業員の価値を過小評価してしまえば、態度・扱いになって表れます。目の前の利益を優先するあまり理不尽な要求をしたり、権威を振りかざして横柄な態度を取ったりすれば、従業員は本来のパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。
2. 感謝の気持ちを示す
マネージャーは従業員に対して常日頃から感謝の姿勢を示すことが大切です。業務上のフィードバックも大切ですが、日々の貢献に「ありがとう」と伝えるだけでも「頑張って良かった」と感じる従業員はたくさんいます。
「ありがとう」を伝えることは、金銭的報酬では得られない大きな効果もたらします。従業員にレコグニション(個々の努力や実績を承認すること)を与えることで、エンゲージメントや日々の職務に対するコミットメントを持つことにつながります。
3. 明確なコミュニケーションを図る
マネージャーは従業員に対して、どのようなタスクであっても目的とゴールを正しく理解させる必要があります。単に伝えただけでは、理解したことにはなりません。繰り返し伝えたり、理解度を確認したりすることが効果的です。
曖昧な指示を出したり、「理解してくれているだろう」と勝手に解釈して指示を怠るのではなく、何度も繰り返し伝えることが大切です。優れた経営者が会社のビジョンやミッションを熱量高く繰り返し伝えるように、マネージャーも仕事の意味や達成すべきゴールを従業員に自らの言葉で伝えることを心がけましょう。
4. 傾聴する
従業員が不安や悩みを抱えている場合、マネージャーは充分な時間を確保して従業員の声に耳を傾けることが重要です。多くの場合は仕事上の問題ですが、場合によっては単にストレス発散のために不満を聞いてもらいたい、プライベートな事柄について悩みを打ち明けたいということもあります。
その際に具体的な解決策をアドバイスする必要はありません。しっかりと従業員の言葉を傾聴し、「それは大変だったね」「今は仕事が手に付かないくらい辛いでしょう」と、共感の態度を示すだけでも、従業員は安心し自らの力で解決策を見つけるはずです。
5. 意思決定はマネージャー自身が行う
マネージャーには決断力が欠かせません。常にチームの先頭に立ち、あらゆる局面でも自らの意志で突き進むことが必要です。
一方、マネージャーが優柔不断で、重要な意思決定をメンバーに委ねてしまえば、チーム全員が不安定な状況に置かれてしまいます。いくら人当たりが良いマネージャーであっても、意思決定ができなければ優れたリーダーとして認められることはないでしょう。
6. 従業員の達成を信じる
マネージャーは、従業員に仕事を割り振る際に、なぜ任せるのかを明確に伝えることが大切です。「あなたなら、必ず成功させられると信じている。」と伝えることで、従業員はしっかりと仕事をやり遂げようと士気を高めます。
上司からの期待に応えると共に、自分を信頼して任せてくれた上司の判断が正しいことを証明しようと頑張ってくれるでしょう。
7. 従業員に自由を与える
優秀なマネージャーは、従業員が自ら能力を伸ばし、自分の力で困難を乗り越えられるような機会を積極的に与えます。
一方、マイクロマネジメント(上司が部下の行動を逐一チェックし、細かく指示すること)を行えば、あっという間に従業員の心が離れてしまいます。従業員としてはロボットのように扱われるのは苦痛であり、「信頼されていない」と感じることでかえって反抗的な態度を取る可能性もあります。
もちろん自由と放置は異なります。マネージャーはチームとしてのゴールや、従業員一人ひとりに求める役割・目標を示しつつ、日々のタスク量や進め方に関しては従業員自身の判断に委ねることが大切です。
8. トラブルを解決する
従業員同士が衝突しチームワークを築けない場合は、マネージャーが仲裁者となる必要があります。本人達の問題と片付けてしまうと、いつまでも問題が解決しないばかりか別なトラブルに発展する可能性もあります。
チームの業績と生産性を維持するには良好な信頼関係やチームワークは欠かせません。マネージャーは常日頃から従業員同士の関係に問題がないか管理し、何かトラブルが発生した際は状況を速やかに確認し、修復不能になる前に働きかけることが大切です。
9. キャリア成長を支援する
優れたマネージャーは、次世代を育てることに注力します。従業員一人ひとりが将来のキャリアをどのように描いているか興味を示し、場合によっては本人の適性や能力をみて、こちらから機会を提供することも大切です。
多少背伸びでも大きなプロジェクトにアサインしたり、より高度な研修機会を提供したりすれば、従業員自身が持つ潜在能力が開花されます。また、上司から期待されていると感じられれば、仕事に対する士気が高まり、より期待に応えようと努力を重ねるでしょう。
10. 従業員の手本になる
従業員はマネージャーの言動に敏感です。いくら言葉で高尚なことを言っていたとしても、自らが実践していなければ、説得力を感じないでしょう。
また、指示・命令だけでは従業員の心まで動かすことはできません。たとえ口数が少ないマネージャーであったとしても、誰よりも行動をしていたり、誰よりも目標に諦めずに向き合っていたりすれば、従業員は「この人についていきたい」と感じるものです。率先垂範で自らの背中で示すことが、チームに一体感をもたらす原動力となります。
11. 誠実さを持つ
従業員に対して誠実に向き合うことも、信頼関係を築く上で重要です。従業員が「上司から見放されている」「大事に扱われていない」と感じていれば、信頼関係はいつまでも深まっていきません。成果を出している従業員だけを大切に扱うのではなく、思うように成果が得られていない従業員にも誠実に向き合うことが、チーム全体のレベルアップにつながります。
12. プロフェッショナルスキルと知識を磨き続ける
マネージャー自身が、その道のプロとして認められていれば、従業員はマネージャーの発する言葉を素直に受け入れ、その判断を信頼します。実績や専門性を持たないマネージャーがいくら正しいことを言ったとしても、聞く耳を持たない人もいます。
例えば、プロスポーツ選手を目指す子どもが、元プロスポーツ選手から指導を受けたいと思うのは自然なことです。優秀なマネージャーとして認められるには、仕事をこなすための十分なスキルと知識を身につけ、実力者として認められることが必要です。
人材管理を適切に行うためには、理想のマネージャーとして成長し続けよう
本記事では、高い人材管理能力が求められるマネージャーのポイント12選を紹介しました。実際にすべてのことを満たすのは容易ではなく、むしろ理想論と感じるかもしれません。
しかし、優秀なマネージャーになるには高い理想を思い描くことからはじめる必要があります。なぜなら、従業員にとって、どんな人物がマネージャーになるかは職業生活上非常に重要なポイントであり、誰しもが優れたマネージャーについていきたいと思うものだからです。
マネージャーが理想を追い求める姿勢や態度は従業員の心にも伝播し、良好な信頼関係のもと、やがてチームの成長をもたらすでしょう。
こちらの記事以外にも、弊社ホームページではチームマネージメントに役立つアドバイスを複数紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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