どの職場でも、何度も同じミスを繰り返したり、著しく成果が低かったりする社員は少なからずいるものです。マネージャーとしてはそんな社員を「見て見ぬふり」するわけにはいきません。

自ら改善を図れるだけの能力がない社員を放置してしまえば、新たなトラブルを引き起こすリスクもありますし、何より他の社員の士気を下げかねません。結果として会社の生産性低下に影響を与えます。

しかし、仕事ができない社員をどのようにマネジメントすれば良いか迷う方も多いでしょう。特にマネージャーは、プレーヤーとして優れた経歴を持つ方も多いため、仕事ができない社員の気持ちが理解できないと悩む方も少なくありません。

仕事ができない社員の改善策

今回は、仕事ができない社員の改善策を6つ紹介します。

1. パフォーマンス評価を行う

パフォーマンス評価とは、与えた仕事に対する業務プロセスや成果物に対して、直接的に観察して評価することです。パフォーマンスの評価によって、一定水準で業務を遂行するために必要な教育機会とリソースが与えられているかどうかを把握することができます。

もしパフォーマンス評価の結果が著しく低い場合は、研修を受けさせたり、メンターを付けたりして、改善を図ります。

大切なのは、マネージャーの主観で、「仕事ができない社員のレッテル」を貼らないことです。客観的なパフォーマンス評価を用いることで、社員にとっても自分自身の課題を認識するきっかけになります。

2. 仕事の目的・背景を伝える

マネージャーはメンバーに仕事を与える際、その仕事の目的・ゴール・目標を明確に伝えるようにしましょう。さらに、なぜその仕事が必要なのか、あるいはそれによって会社や社会にどんな影響を与えるのか、といったことまで理解してもらうことが大切です。

社員自身が、今何をすべきなのか、何を期待されているのか、をきちんと理解すれば仕事に対する責任感が芽生えます。「自分は今、重要なミッションを任されている」と自覚することがその後の行動やアウトプットの質を高めるといっても過言ではありません。

3. 社員の成長を辛抱強く待つ

そもそも仕事ができる、できないという評価は相対的なものです。新しい仕事を覚えたり、技術を習得したりする時間は人によって異なります。他の社員と比べて習得が遅くとも、後々会社に大きな利益をもたらす人材へと成長することは往々にしてあります。

他の社員よりも成長が遅いからといって、過度にプレッシャーを掛けたり、人格否定のような言葉を投げかけたりすると、途中で挫折してしまいます。成長スピードは個性だと捉え、本人に少しでも向上の兆しがあれば、長い目で育てていくべきです。

習得状況とパフォーマンスを適宜チェックしながら、必要に応じて直接的にアドバイスをするなどして、社員の成長に向き合い続けることが大切です。優秀な人材の定義についてはこちらをご覧ください。

4. 定期的に話し合いの場を設ける

社員からすれば、信頼関係が築けていないマネージャーから指摘されても、なかなか聞き入れられないこともあるでしょう。いくらアドバイスや指摘が正論であっても、「誰が言うか」によって社員の納得度は大きく異なります。

そのためマネージャーは定期的に1on1ミーティングを設定し、社員と対話を重ねると良いでしょう。他の社員と比較せずに、本人に与えた仕事の進捗や成果について良い面があれば褒め、改善が必要な点があればどのようにすれば良いかを具体的に示します。

そうした対話を重ねることで社員と信頼関係が築かれていき、その社員は多少厳しいフィードバックであってもしっかりと受け入れ、改善に向けて真摯に取り組むことでしょう。

5. 他部署への配属替えを検討する

仕事ができない社員に適切なサポートや教育の機会を提供したにもかかわらず、要求される水準の仕事をこなせないことが明確である場合は、担当の業務から外すことや別のチームへの異動も検討しなければなりません。

会社は学校ではなく、あくまでも利益を追求する場です。必要以上に育成に時間をかけて、チームの生産性が下がることになれば本末転倒でしょう。

また、本人の適性と任せる仕事が合っておらず、他の仕事を任せたら高い成果を上げたという話もよくあります。その社員がどんな強みやスキルを持っていて、どういった仕事であればパフォーマンスを発揮できるかを検討していくことも、組織のマネージャーとして重要な役割です。優秀なマネージャーになるためのポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

6. できない社員と袂(たもと)を分かつ

「袂を分かつ」とは関係を断つということ、つまり解雇です。教育・研修の機会提供、配属替えをしても効果がなく、会社に損害をもたらすようなトラブルが絶えないような場合は解雇を言い渡すことも必要です。

しかし、日本は労働基準法によって従業員の雇用が厚く守られているため、会社からの通達により一方的に雇用を終了させることは容易ではありません。外資系企業であっても、日本国内で営業している場合は労働基準法が適用されます。

そのため、いきなり解雇を言い渡すよりも、社員に退職を促し、自らの意志で退職届を提出してもらう「退職勧奨」が行われることが一般的です。退職勧奨も進め方を誤ると、パワーハラスメントとみなされ、訴訟を起こされるリスクもあるため慎重に進める必要があります。

また、社員がより適した仕事を探せるように、キャリアサポートを提供することも必要です。新しい人を雇うための採用費がかかりますし、業務の引継ぎの発生により一時的に生産性が下がることも予想されます。社員が退職することで、他の社員が動揺したり士気低下につながったりすることもあるでしょう。

このように社員が退職することには様々な負担が伴います。しかし、仕事ができない社員を抱え続けることで発生する影響を考えれば、マネージャーとして決断しなければならない場面もあります。

仕事ができない社員を採用しないための注意点

もし、社員と袂を分かち、新しい社員を採用する場合は、同じ失敗を繰り返さないために、採用プロセスの段階から見直すことが大切です。

そもそも職務経歴書の審査時点で採用基準を満たしていなかった可能性もあります。また、履歴書・職務経歴書だけでは掴みきれない、コミュニケーション力や仕事に対する価値観などを、面接時に把握できていないことも考えられます。そうした場合は、往々にして面接の進め方が不適切だったことが考えられます。

このように、仕事ができない社員を採用したときのプロセスを検証することで、採用活動上の課題が把握でき、自社の採用力向上に役立ちます。もし、自分たちだけで採用プロセスの分析・検証、改善立案が難しい場合は、ぜひ弊社の採用のプロにご相談ください。課題の特定をお手伝いいたします。

まとめ

今回は、仕事ができない社員との関わり方について6つのポイントと合わせて解説しました。仕事ができる・できないは、実際に業務を任せてみて始めて分かる場合が多いです。そのため、いくら華やかな履歴書や職務経歴書であっても、業務にそのまま活かせるとは限りません。

「本当に自社にとって最適な人材か」を自らに問いを立て、総合的に評価していくべきでしょう。もし、採用活動に課題を持ちながらも、具体的に何を改善すれば良いかわからない場合は、ぜひ弊社にご相談ください。長年数多くの外資系企業、大手日系グローバル企業の採用活動をお手伝いするなかで構築したデータとノウハウで貴社の採用課題を特定し、改善のお手伝いをさせていただきます。

相談をご希望の方は、お気軽に弊社までご連絡ください。