日本ではこれまで多くの人が、同じ会社で定年まで勤め上げるキャリアを選んできましたが、それは変わりつつあり、特に国際的な企業では、キャリアアップのために転職することが普通に受け入れられるようになっています。
会社を辞めると決意したのであれば、おそらくは、上司に話す際の会話について考えたことでしょう。しかし、どんなチャレンジにも共通することですが、多少の準備と場合によっては多少の練習を積むことで、この会話もそれほど気まずくはなくなります。
退職に備えて準備することは、多数の理由から重要です。
第一に、十分な通知期間ができます。日本では、雇用契約にもよりますが、的には必要と定められた通知期間は2週間です。しかし、少なくとも1カ月前に通知するのが慣習的で、仕事の性質や会社によっては、それ以上になることもあります。
第二に、今与えられている仕事を終えると同時に、後を引き継ぐ同僚に適切に引き継ぐための準備時間ができます。引き継ぎは、詳細に配慮して整然と行うほどベターですから、退職に先がけて準備することが欠かせません。
最後に、前もって計画することで、スケジュールを調整する時間ができます。退職する前に会って話をしておきたい同僚もいるかもしれませんし、転職先での仕事が始まる前に少し休みを取りたいと思うかもしれません。
ただし、退職の話を上司に話すよりも前に、同僚と共有してはなりません。あなた以外の誰かから、この話が上司に伝わるようなことがあってはならないからです。
どのタイミングで上司に伝えるかを決めたら、次は、上司と二人だけで話せるミーティングを設定する必要があります。
あなたの退職に対して上司がどう反応するかが予想できない場合は、このミーティングを金曜日の午後に設定すると良いでしょう。こうしておけば、週末を挟んで少し落ち着いたうえで、引き継ぎや提出が必要になる書類などの事務的な詳細を、週明けから手配できるようになります。
上司とのミーティングでは、以下の点を確認します。
退職日
退職前に終えるべき仕事、次の人に引き継ぐべき仕事
会社が定めている退職の手順、退職願や退職届のテンプレートがあるかどうか
どのタイミングで同僚に退職のことを伝えるべきか
上司とのこの会話は、プロフェッショナルに徹することです。良好な関係を保って円満に退職することで、あなたの評判に傷を付けないようにします。
何を話すべきかについて、あまり自信がない場合は、簡潔かつ率直を心がけます。敬意を示し、ポジティブに話を進めます。そして、以下のような点に手短に触れることができるでしょう。
上司の下で働き学習する機会を与えられたことに対し、お礼を言います
個人的な理由で退職することにしたと伝えます
希望する退職日がある場合は、了承してもらえるかどうかを尋ねます
退職にまつわる会社の規定について、質問します
事務的な手続きと作成の必要な書類(正式な退職届など)を確認します
必要な業務はすべて終え、引き継ぎを行うことを上司に約束し、必要であれば後継者を見つけてトレーニングを提供すると申し出ます
一緒に仕事をした間に上司から受けたサポートに対し、あらためて感謝を伝え、さらに時間を取ってくれたことへのお礼を言います
プロフェッショナルな態度を貫くためにも、この上司とのミーティングを、在職中に経験した状況や難しい同僚についての不満を言う機会ととらえるべきではありません。ネガティブな出来事があって退職を決意した場合でも、この会話はビジネス上のミーティングと位置付け、プロフェッショナルに徹すべきです。
法的に退職の理由を説明する義務はありません。また、退職後の計画を説明する義務もありません。ただし、上司はこれらのことを知りたいと感じるかもしれません。これらの詳細を共有することは、良い場合もあればそうでない場合もあるため、上司に聞かれた時にどう答えるかを慎重に考えておくべきです。
退職の意向を最初に上司に伝える際と同じように、退職願や退職届を提出する際も、二人だけのミーティングを設定すべきです。上司と気の置けない関係にあるとしても、これは正式な場と位置付けてください。退職届を両手で持って礼儀正しく手渡し、サポートしてくれたことへの感謝をあらためて上司に伝えます。
理由は何であれ、退職までの時期には、さまざまな感情が湧くこともあります。落ち着きを失わず、あくまでプロフェッショナルに徹することが重要です。事前に計画してタイミングを見計らい、退職の手続きを会社に確認して正式にプロセスを踏むことで、良い印象を残して円満に退職し、ストレスなく次の仕事を始められるようになるでしょう。